1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織の再生におけるアルカリホスファターゼ陽性線維芽細胞の機能解析
Project/Area Number |
08771703
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安部 達也 九州大学, 歯学部, 助手 (80271112)
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Keywords | 線維芽細胞 / アルカリホスファターゼ / 歯肉 / 歯周炎 |
Research Abstract |
1、アルカリホスファターゼ(ALP)陽性歯肉線維芽細胞の選択的分離。 成人性歯周炎患者10名から歯肉を採取し、段階的酵素消化法、沈降法および付着法の組み合わせにより線維芽細胞を分離した。酵素染色と免疫染色による観察結果、分離した細胞の71.9±%7.1%がALP陽性線維芽細胞であった。マクロファージ/単球の混入は2-4%で、血管内皮細胞の混入は認められなかった。今後、抗ALP抗体を作製してALP陽性線維芽細胞をさらにpurificationする予定である。 2、ALP陽性線維芽細胞のin vitro解析。 (1)増殖能の解析:分離した線維芽細胞を10%fetal bovine serum(FBS)存在下で継代培養するとALP陽性細胞の比率が低下した。10%FBS存在下で細胞周期のS期の細胞の割合をbromodeoxyuridine(BrdU)の取り込みにより測定した結果、ALP陽性細胞のBrdU標識率はALP陰性細胞のそれに比べ有意に低かった(10.1±2.9%vs.39.1±4.1%,n=5)。 (2)コラーゲン産生能:ヒトtype I procollagenに対するモノクローナル抗体で免疫染色した結果、その陽性率はALP陽性細胞と陰性細胞とで同程度であった(85.4±3.7%vs.86.7±4.8%,n=5)。 以上の結果から、成人性歯周炎患者の歯肉炎症巣に存在するALP陽性線維芽細胞は、増殖能は低いがコラーゲン産生能は保持されており、炎症反応部位における結合組織の修復に重要な関連性があることが推察された。
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