1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉増殖症の成立機序へのリソゾーム性プロテアーゼの役割に関する基礎的研究
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08771707
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾崎 幸生 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (60204187)
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Keywords | メダラシン / 歯肉増殖症 / ニフェジピン / 免疫組織化学 / ラット |
Research Abstract |
ニフェジピン誘発性歯肉増殖症(NF-OG)と好中球エラスターゼ類似蛋白分解酵素のメダラシン(Med)の関連を調べる目的で、ラットにニフェジピン含有飼料を用いて歯肉の増殖を惹起させ、その際の歯肉増殖性変化と同酵素の組織内分布を経時的に調べた。3週令雄性F344ラットに、ニフェジピンを250mg/kgの割合で混合した粉末飼料を自由摂食させ、実験開始2、8、16、32週後に屠殺した。また、粉末飼料のみを摂食させたラットをコントロールとした。次に、それらの下顎骨の第一臼歯と第二臼歯の歯間部および第一臼歯遠心根相当部の連続切片を作製し、画像解析により歯肉の面積を計測した。また、ヒト肋骨骨髄細胞よりMedを精製し、家兎にて特異抗体を調製の後、ABC法にて免疫染色を施し、同酵素保有細胞の総細胞に占める割合を計測した。その結果、各々の週令のサンプルにおいて、コントロールに対する実験群の歯肉の面積の有意な増大が認められた(8週後においてp<0.01,2、16、32週後ではp<0.05)。さらに、Med保有細胞数も実験群において多く見られ、特に歯間部内縁上皮、もしくはポケット上皮中およびその近傍結合組織に有意に多数存在した(2、16週後はp<0.05,8、32週後はp<0.01)。しかし、口腔上皮およびその直下結合組織には少数しか認められなかった。Med保有細胞は好中球が主であったが、一部の切片において上皮の不規則な伸長がみられた部位の直下結合組織にマクロファージのMed保有細胞が認められた。これらの所見より、MedはNF-OGラットにおいて宿主の防御機構および免疫調節に重要な役割を果たし、おそらくは発症初期の段階から歯肉の増殖性変化と関連があることが示唆された。
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[Publications] Kunimatsu K.,et al.: "Possible roles of medullasin in nifedipine-induced gingival overgrowth" Archs oral Biol.41(1). 111-115 (1996)
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[Publications] 田尻公一 ほか: "フェニトイン歯肉増殖症における抗S-100蛋白抗体陽性ランゲルハンス細胞の上皮内分布および密度に関する免疫組織学的研究" 日本歯周病学会会誌. 38(2). 168-175 (1996)