1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉溝滲出液中のIL-1レセプターアンダゴニストの動態に関する研究
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08771710
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
南 睦美 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60229771)
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Keywords | 歯肉溝滲出液 / IL-1 / IL-1レセプターアンタゴニスト |
Research Abstract |
歯周病の診断として、歯周病活動期を客観的に予測できる試みが注目されている。破骨細胞による歯槽骨吸収の活性化や抑制は様々なサイトカインを介して行なわれている。本研究では、強い骨吸収活性を示すInterleukin-1(IL-1)とその抑制因子であるInterleukin-1 receptor antagonist(IL-lra)に注目し、その変動を明らかにするために、scaling/root planing(Sc/RP)前後での歯肉溝滲出液(GCF)中のIL-lとIL-lraの変化について検索を行った。 成人性歯周炎の患者7名(男性1名、女性6名)を対象として口腔清掃指導を行なった後、plaque control recordが20%以下になった時点で、上顎前歯部、小臼歯部を中心に14部位を選択した。臨床診査項目としてSilness&Loeのplaque index(PlI)、Loe&Silnessのgingival index(GI)、probing deprh(PD)、clinical attachment level(AL)、bleeding on probing(BOP)を測定した。被験部位に大して、浸麻下でSc/RPを行なった。Sc/RP直前、Sc/RP後2週にGCFの採取および臨床診査を行なった。GCFはPeriopaperを30秒ずつ3本歯内溝に挿入して採取しPeriotronにてGCF量を測定した。その後0.5%BSA含有200μlのPBSに保存し、測定時まで-20℃で保存した。IL-lα,βおよびIL-lraの測定はELISAキット(Amersham社製)を用いて行なった。 その結果治療前と比較して治療後は、GI、PD、AL、BOPおよびGCF量はともに有意に減少したが、PlIは変わらなかった。治療後,IL-lα,β量は治療前と比較して有意に減少したが、IL-lra量は変化しなかった。また、治療後、IL-lα,β濃度は、変わらなかったが、IL-lra濃度は治療前と比較して有意に増加した。本研究では、IL-lraが歯周炎の患者にも存在し、IL-l量の200〜2000倍程度存在することが明らかとなった。今後、歯周組織におけるIL-LとIL-lraのバランスと炎症の関係を解明していく予定である。
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[Publications] 松永信、南睦美、末田武: "初期治療におけるポケットの減少とプラークコントロールとの関係について" 日本歯周病学会誌. 31 2. 717-723 (1989)
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[Publications] 瀬戸口尚志、南睦美、末田武: "EPTFEメンブレンを用いた組織再生誘導法の臨床効果について" 日本歯周病学会誌. 33 4. 1032-1039 (1991)
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[Publications] 末田武、竹内真、南睦美: "メインテナンス時に出血がみられた浅い歯周ポケットに対するdebridementの効果" 日本歯周病学会誌. 34 2. 514-520 (1992)
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[Publications] 南睦美、和泉雄一、末田武: "歯肉剥離掻爬術のブロービングデブスの変化に関する研究-歯種や部位による相違について" 日本歯周病学会誌. 35 3. 518-523 (1993)
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[Publications] 和泉雄一、南睦美、末田武: "歯周病罹患部位におけるsecretory leukocyte protease inhibitor (SLPI)の動態" 日本炎症学会雑誌proteas16 5. 327-334 (1996)
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[Publications] 大橋靖、南睦美、末田武: "かむこと、のむこと、たべること-咀嚼の科学-" 医歯薬出版株式会社, 270 (1996)