1996 Fiscal Year Annual Research Report
多根管を有する歯根に現れる根管イスムスに関する解剖学的研究
Project/Area Number |
08771741
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
森 拓也 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (30277602)
|
Keywords | 多根管 / 根管 / イスムス / 根尖切除 / 上顎小臼歯 / 歯根形態 |
Research Abstract |
多根管を有する歯根に根尖切除を行った場合、切断面に根管と根管とを結ぶイスムス(Isthmus,峡部)がみられることがある。本研究ではヒト抜去歯を使用しその解剖形態を検討した。 実験材料として年齢、性別、歯種の明らかなヒト抜去歯上顎小臼歯5本を使用した。まず頬舌、近遠心方向よりエックス線写真撮影を行い、根管の走行、分岐形態を確認した後、アルコール系列にて脱水し樹脂包埋を行った。 次に根尖切除を想定し、被験歯の歯軸に対し45度の角度をなす平面で歯根を根尖で部分的に切除した。アイソメットを使用し、根尖端から根尖1/3まで厚さ200μmで薄切した。その後、切り出した薄切片をマイクログラインダーで厚さ約10μm程度に研磨した後、1分間の超音波洗浄を行った。さらに一方の研磨面を0.05N-HClを用いて1分間酸処理を行い乾燥した。 得られた薄切切片のイスムス形態を光学顕微鏡にて観察の後、本研究設備のXYアナライザーを使用して根管径、イスムス間距離、象牙細管の走行などを測定し、次の結果が得られた。 被験歯中の1歯は、エックス線写真では複根管を示したものの、薄切切片上では単根管を呈したため、観察対象から除外し、4歯に関して計測を行った。そのうち2歯に明らかな根管イスムスが観察でき、その長さは根尖2mm付近で平均2.80mmであった。イスムスには完全に管腔状の部分と閉鎖を示すものなどがあり、周囲象牙細管の走行も複雑であった。 今回は年齢、性別の明らかなヒト抜去歯ではない上に被験歯数も少ないためにその発現頻度、発現位置等の解剖学的特徴を十分に明らかにすることは困難であった。現在、被験歯数をさらに加えて研究を続行中である。
|
Research Products
(1 results)