1996 Fiscal Year Annual Research Report
機能的義歯に与えるリリ-フ域および圧負担域に関する研究
Project/Area Number |
08771766
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石鍋 聡 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10232323)
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Keywords | レーザードロップラー血流計 / 実験義歯 / 義歯床下粘膜 / リリ-フ域 / 圧負担域 / 荷重センサ / 温度センサ |
Research Abstract |
本研究は,荷重前後の床下粘膜の末梢血液循環の変化を,粘膜の特に薄い上顎口蓋正中部を中心にレーザードップラー血流計を用いて計測し,義歯装置による床下粘膜への影響とその対応策について検討することを目的とする。研究は以下の順序で行った。 1.実験義歯の製作 2.安静時における義歯床下粘膜の血流量の計測 3.荷重時の義歯床下粘膜の血流量の計測 4.リリ-フ適用範囲の定量的検討 本研究においては,実験義歯が血流量の変化・床下粘膜厚径計測のテンプレートを兼ねているため,以下の点に注意して慎重に製作した。全歯部からプローブの挿入が可能となるように臼歯部のみに咬合堤を付与し,床用レジンは適合性に優れているイントプレスを用いた。荷重量を最大咬合力に規定できるように下顎実験義歯の左右第1臼歯相当部に小型荷重センサを装置し,センサの受圧部のみで上顎実験義歯と咬合するように調整した。また,粘膜表層の血流量は温度変化に大きく影響されるので,実験義歯口蓋部に温度センサを組み込み粘膜表面の温度をモニタリングできるようにした。同一部位を繰り返し計測できるように上顎実験義歯の各計測部位にはプローブホールを設けた。この実験義歯を用いて測定を行った結果,安静時粘膜厚径に対する粘膜沈下量の割合(粘膜沈下率)が,12.7〜15.1%と他の部位より高い値を示した口蓋正中部を中心とする範囲で,荷重前後の血流量の変化が大きい傾向が示された。また,この範囲において除重時の粘膜変位の変位回復比が他の部位より小さいことが明らかになった。 臨床において床下粘膜を健康な状態に維持するためには義歯の"あたり"がでると予測される部位にリリ-フを設けることが大切である。本実験の結果を活用し, 1.安静時粘膜厚径に対する粘膜沈下量の割合(粘膜沈下率)が高く,荷重前後の血流量の変化が大きい口蓋正中部を中心とする範囲に,適切な量のリリ-フを施す。 2.その量の基準は,口蓋隆起なし;0.25mm口蓋隆起中等度;0.25〜0.5mm口蓋隆起強度;0.5mmとする。
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