1996 Fiscal Year Annual Research Report
全部鋳造冠の咬合調整に伴う咬合面形態の変化と咬合接触像
Project/Area Number |
08771790
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松浦 広興 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (10271082)
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Keywords | 咬合調整 / 咬合面形態 / 咬合接触像 / 咬合紙 / 3次元座標測定 |
Research Abstract |
咬合調整が適正に行われているか否かの判断は,咬合接触検査材を用いて術者が客観的に判断するか,患者の主観に頼らざるを得ないのが現状である.我々は臨床において咬合紙の色の抜け方から咬合接触状態を判定しているが,咬合紙の咬合接触像は滑走運動の記録も含むため,単に咬合の高さのみでなく咬合面形態により変化する. そこで本研究では,三次元的な咬合面形態の変化が口腔内における咬合接触像にどのように影響するかを明らかにするとともに,咬合紙の咬合接触像の定量的基準を確立することを目的とした. 咬頭嵌合位の明確な被験者に対し,右側下顎第一大臼歯を支台歯形成し,通法に従って白金加金の全部鋳造冠を製作した.鋳造冠を装着し,全顎型咬合紙を用い咬頭嵌合位で数回タッピングさせた後,冠に印記された部位と咬合紙上の色の抜けた部位とを対比させて,選択的に咬合調整を行った.調整に伴う冠の咬合面形態の変化を,咬合調整毎に三次元座標測定器を用いて1μm単位の精度で測定し,三次元グラフィックターミナル上に表現するとともに,各咬合小面における咬合調整量を解析した.1回の咬合調整量は約5〜75μmで,調整回数の増加に伴って減少する傾向にあった. 一方,咬合調整に用いた咬合紙記録とブラックシリコーンをディジタル(CCD)カメラおよびスキャナーを介してパーソナルコンピュータに格納し,画像処理ソフトを用いて接触部位の面積と透過度について解析した.咬頭嵌合位での咬合調整では,上下顎歯牙の初期接触からIPへ咬み込むまでのすべての運動経路が咬合紙上に記録されるため,今回の画像解析における再現性については,さらに症例数を増やして検討する必要があると考えられる. また,今後,咬頭嵌合位での咬合調整終了後の側方咬合調整についても,同様の手法で検討して行く予定である.(閉成9年度科学研究費にて申請中)
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