1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌における上皮成長因子受容体の過剰発現と悪性度に関する研究
Project/Area Number |
08771868
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
倉郷 貴敏 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10263857)
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Keywords | EGF-R / TGF-α / Amphiregulin / Autocrine / Malignancy |
Research Abstract |
本研究では培養細胞,手術材料を用いてEGF-Rおよび種々のEGF-Rのリガンド産生量を明らかにし、腫瘍の悪性度との関係を明らかとすることを目的とした。 まず当科で培養中の口腔癌細胞株および無蛋白培地にて培養を行っている口腔癌細胞株が発現しているEGF-RおよびEGF-Rのリガンド(EGF、TGF-α、Hb-EGF、アンフィレグリン)の定量を行った。 悪性度の指標として増殖速度、マウスへの造腫瘍性を用いた。またリガンドのオートクラインループを検索するための無蛋白培養系細胞株との比較を行った。 【結果】 培養細胞に発現しているEGF-R数は、スキャッチャード解析により求めた。口腔癌培養細胞では1.5×10^7(ZA)〜5×10^4(HOC313)の発現量でありヒト正常角化細胞と比較し過剰な発現を認めた。その発現量と腫瘍の増殖速度、造腫瘍能との直接的な関連は見出せなかった。 自己産生リガンドの発現量はノーザンブロットによりmRNAレベルでの検索を行った。その結果、TGF・α、アンフィレグリンは細胞間で発現レベルに差を認めた。細胞株を無蛋白培養する際、可能なものとそうでないものが存在する。今回検索した範囲では無蛋白培養が可能なグループでは通常の血清添加培地での培養条件でTGF・α又はアンフィレグリンの発現を認めており、無蛋白培養を行うことでそのレベルの上昇を認めている。このことより口腔扁平上皮癌細胞株の増殖に、EGF-Rを介したTGF・α又はアンフィレグリンのオートクラインループが関係していることが考えられた。
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