1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜癌の頸部リンパ節転移に関する細胞接着分子の免疫組織学的研究
Project/Area Number |
08771878
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
関口 隆 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00240929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 誠 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50208328)
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50165180)
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Keywords | 口腔粘膜癌 / 頸部リンパ節転移 / E型カドヘリン / I型コラーゲン / LFA-1 / ICAM-1 / 免疫組織学的研究 / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
癌の転移は、1)癌細胞の原発巣からの離脱・解離、2)間質への浸潤、3)血管内皮細胞への接着と血管内遊走、4)血管外脱出、5)転移臓器での着床・増殖といった、複雑な過程を経て成立する。本研究では、口腔扁平上皮癌42例の治療前生検組織を研究材料として、転移機構の各段階に直接関与するとされている接着分子、即ち1)E型カドヘリン、2)I型コラーゲン、3)ICAM-1およびLFA-1の発現様式を免疫組織学的に検索し、頸部リンパ節転移との関連について検討し以下の結果を得た。 1.各種接着分子の発現様式;E型カドヘリンは癌細胞間に膜状の陽性反応として観察され、症例によって強い陽性反応がみられる非減弱型や反応が弱いか欠失している減弱型など違いが認められた。T3,T4の進展例では発育先進部における発現が減弱する傾向であった。I型コラーゲンは間質にび慢性に分布し、間質結合組織の増生の程度により染色程度に違いがみられた。高度浸潤癌(4C,4D)あるいは低分子癌では染色程度が弱い傾向であった。ICAM-1は間質の微小血管内皮細胞に強い陽性反応として観察され、癌細胞間に膜状に染色される症例が散見された。LFA-1は癌胞巣や血管周囲に浸潤するリンパ球に膜状の陽性反応として観察され、癌細胞間に膜状に観察される症例も散見された。 2.接着分子の発現様式と頸部転移との関連;対象42例のうち、原発巣と同時に頸部廓清術を行い組織学的に転移が認められた症例は13例、後発転移をきたした症例が3例で、42例中16例がpN+(転移陽性例)であった。転移の有無と各種接着分子の発現様式との関連をみると転移陽性例16例のうちE型カドヘリンの非減弱型は2例のみであり、14例(87.5%)は減弱型であり、E型カドヘリンの減弱症例では頸部転移をきたす症例が多いことが示唆された(p<0.05)。転移陽性例ではI型コラーゲンの染色程度が有意に弱い傾向であり(p<0.05)、LFA-1やICAM-1も癌細胞に陽性所見が観察された。
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