1996 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の産生する一酸化窒素による癌転移の制御機構
Project/Area Number |
08771886
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
羽鳥 仁志 昭和大学, 歯学部, 助手 (20245814)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / ヒト口腔扁平上皮癌細胞NA / セレクチン / フローサイトメトリー / SNAP |
Research Abstract |
癌細胞の転位は多段階的な現象であり、癌細胞が原発巣を離脱して周囲組織に浸潤、血行生あるいはリンパ行性に二次臓器に生着して転移が成立すると考えられている。この際、接触する周囲組織の細胞や、癌細胞自体が発現している細胞接着分子、サイトカイン等が癌の転移に深く関与している。脈管内を移動した癌細胞の遠隔組織血管内皮細胞への接着は、癌の血行性転移における重要なステップであることから、血管内皮細胞の細胞接着分子発現制御による癌転移の制御が検討されている。一方、血管内皮細胞は血小板凝集能の亢進や、血管弛緩作用を有する一酸化窒素(nitric oxide;NO)を産出することが知られている。そこで本研究では血管内皮細胞のNO産生能が、細胞接着分子、特に流血中の癌細胞の血管内皮細胞への接着に関与しているとされているセレクチンの発現、および癌細胞の浸潤に及ぼす影響について検討した。 当科で樹立したヒト口腔扁平上皮癌細胞(NA)を用いてセレクチンのリガンドであるシアリルLexおよびシアリルLeaの発現をフローサイトメトリーを用いて検索した結果、NAは両リガンドを発現していた。 また、自発的NO供与体であるSNAPでNA細胞を処理すると濃度依存的にその細胞付着率は減少する傾向を示した。今後、血管内皮細胞にeNOS遺伝子を導入し、細胞接着分子の発現状況を解析するとともに、癌細胞の付着能を検討し、血管内皮細胞産生NOによる癌転移制御の可能性を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 羽鳥仁志: "ヒト口腔扁平上皮癌細胞株における抗癌剤によるアポトーシスの誘導" 日本口腔外科学会雑誌. 42・10. 969-974 (1996)
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[Publications] HATORI M: "Retinoic acid modulation of gluthathione and cysteine metabolisn in chandrocytes" Biochem J. 15・314. 21-26 (1996)