1996 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛緩和に対する貼付用剤(リドカインテープ)の評価方法と臨床効果に関する研究
Project/Area Number |
08771896
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
向井 康子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (40277471)
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Keywords | 60%リドカインテープ / Visual Analogue Scale / サーモグラフィ |
Research Abstract |
静脈穿刺時の疼痛緩和効果を目的として開発された60%リドカインテープ(ペンレス^<【○!R】>)の有用性について検討した。 《研究1》健康成人を対象とし、前腕部屈側に貼付したテープの種類および貼付時間によりリドカインテープ30分、60分および90分間貼付群、プラシボテープ30分および60分間貼付群の5群に分類した。テープ貼付側と非貼付側への静脈穿刺の痛みをVisual Analogue Scale(VAS)を用いて、被験者自身に評価させるとともにその有効性、副作用についても調査した。 〈結果〉1.リドカインテープ60分および90分間貼付群はリドカインテープ30分間貼付群、プラシボテープ貼付側に比較して有意に疼痛を緩和した(p<0.01)。 2.リドカインテープ60分および90分間貼付群では被験者自身による有効性の評価も高かった。 3.副作用の発現率は各群30%前後であったが、その症状はすべて一過性の発赤、掻痒感の局所的なものであり、症状の持続や全身的な症状を呈したものは認められなかった。 《研究2》リドカインテープ貼付による影響、特に血管拡張作用を観察するため、健康成人を対象とし、リドカインテープ30分、60分および90分間貼付群とプラシボテープ60分間貼付群のテープ除去後の平均皮膚温を医用サーモグラィ装置を用いて観察した。 〈結果〉1.リドカインの血管拡張に基づく皮膚血流量の増加からのテープ貼付部皮膚温の上昇は認められなかった。 2.テープ剥離の物理的刺激またはテープ基剤の影響によると思われる0.4〜0.5℃の低温を示したが、貼付部周囲皮膚温に比較し有意な温度変化ではなかった。 今後、サーモグラフィとともに非侵襲型ドップラー血流計による皮膚血流量の測定を加える必要がある。 以上のことから、60%リドカインテープの60〜90分間の貼付は静脈穿刺時の疼痛緩和に有用である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 下坂典立,向井康子,山口秀紀,佐久間優,木村二郎,渋谷鉱: "60%リドカインテープの有用性と皮膚温に及ぼす影響について" 日本歯科麻酔学会雑誌. 24・4. 94- (1996)
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[Publications] 向井康子,山口秀紀,下坂典立,渋谷鉱,高須賀文子,大峰浩隆,鈴木邦夫: "静脈穿刺時における貼付用局所麻酔剤の有用性に対する検討" 日本歯科麻酔学会雑誌. 24・5. 791-797 (1996)
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[Publications] 向井康子,青島史尚,山口秀紀,石橋肇,渋谷鉱,: "静脈穿刺時における60%リドカインテープの有用性について" 日本麻酔・薬理学会誌. 9・2. 210-212 (1996)