1996 Fiscal Year Annual Research Report
末梢における脈波伝播速度と心電図R-R間隔変動の解析による自律神経機能の評価
Project/Area Number |
08771898
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐久間 優 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (90221275)
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Keywords | 指動脈圧脈波 / MEM |
Research Abstract |
当初計画の脈波伝播速度による自律神経機能の評価は、心拍数の変化による影響を取り除いて解析する方法を検討したが実現できなかった。そのため指動脈圧波形の解析方法をMEM法によるスペクトル解析に変更し自律神経機能の評価を行った。 フィナプレスによる全身麻酔中の指動脈圧波形の1心拍分の波形についてスペクトルピーク周波数が低い順に1から15まで番号をつけ、12名のデータについて以下の時期毎に平均を求めた。1)導入後気管内挿管前、2)気管内挿管時、3)気管内挿管直後、4)気管内挿管5分後、5)執刀後。 スペクトルピーク周波数の時期別の平均値の最大と最小は、1番で0.9〜1.5Hz、2番2.7〜3.7Hz、5番8.7〜12.2Hz、10番22.2〜31.4Hz、15番34.7〜42.8Hzであった。全ピーク番号において時期別の平均値が高いのは挿管時、挿管直後、挿管前、執刀後、挿管5分後の順であった。脈拍数の平均は高い順に挿管時、挿管直後、挿管前、挿管5分後、執刀後であった。スペクトルピーク周波数と脈拍数の間の相関係数が最も高いのはピーク番号2の0.91、次が1番の0.81で、最低が5番の0.33で、10番は0.53、15番は0.50であった(n=60)。 以上より指動脈圧波形のMEMスペクトルピーク1番と2番は脈拍数の成分が占める割合が多いと考えられた。脈拍数との相関が高くない5番以降のスペクトルピークは、心拍数の変化による影響を受けにくいと考えられ、その値を観測することで、指動脈圧脈波に含まれた自律神経変化の情報を得られると考えられる。しかし、生体への手術侵襲の程度およびそれによる自律神経の状態変化を客観的に評価することは困難であり、MEMスペクトルと比較検討するためには今後この評価方法を工夫する必要がある。
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