1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌周辺にみられる異常上皮の悪性潜在能に関する細胞化学的研究
Project/Area Number |
08771900
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
河原 健司 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80247311)
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Keywords | 口腔粘膜癌 / 異常上皮 / Ag-NORs / 悪性潜在能 / 細胞化学的研究 / 異形成上皮 |
Research Abstract |
本研究では、γDNAに関連した核内蛋白で、細胞の蛋白合成や増殖と密接な関連性を有するAg-NORs(Nucleolar Organizer Regions)の発現状況を、癌および周辺上皮で比較検討した。対象は、周辺上皮に組織学的な異常を認めた口腔粘膜扁平上皮癌31症例である。性別では男性19例、女性12例、年齢は42〜89歳、平均64.7歳であり、原発部位は舌16例、歯肉8例、口底5例、頬粘膜、口唇が各1例であった。癌の臨床進展度ではT0が1例、T1が8例、T2が18例、T3が3例、T4が1例、N0が23例、N1が7例、N2bが1例であった。周辺異常上皮の臨床型では、白斑型21例、白斑紅斑混在型5例、疣贅型2例、特に異常を認めなかったもの3例であった。病理組織学的所見では癌の大部分は高分化型扁平上皮癌であり、周辺上皮には、単純な過角化から中〜高度の上皮異形成を示すものまでみられた。 Ag-NORsの検索方法は、生検または手術材料のパラフィンブロックより厚さ6μmの切片を作成、Howell and Blackのone-step法に従い銀染色後、1000倍油浸レンズ下で写真撮影し、細胞100個について核内銀染色顆粒(Ag-NORs)の分布状態と平均NORs数を算定した。その結果、正常上皮では、中〜大型円形のAg-NORsを1〜3個(2.1【.+-。】0.2)有するものが多く、癌(3.5【.+-。】1.0)では大きさ、形状が多彩であり、Ag-NORs数は増加していた。癌周辺上皮では一般に大型円形だが、ときに小型、不整型のものもみられ、Ag-NORs数は癌と正常上皮の中間的値(2.6【.+-。】0.7)を示すものが多く、なかには癌に類似したものも認められた。 また、Ag-NORs所見と上皮異形度との関係、臨床型との関係では相関性は認められなかったが、位置的分類では、I型とII型に平均Ag-NORs数が高いものがみられた。
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