1996 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症候群に対する分離型調節式スプリント療法の効果発現機序の解明
Project/Area Number |
08771923
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
江崎 和久 久留米大学, 医学部, 助手 (80203628)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 歯科装置 / セファログラム |
Research Abstract |
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法の一つとして,下顎前方固定装置を用いた治療は,近年,その有用性が評価されている.本研究では下顎の固定を必要としない分離型の調節式スプリント(Mandibular Advancing Positioner : MAP)を考案し,その治療を行ない,MAP装着前と装着時に撮影したセファログラムの計測結果と睡眠ポリグラフ(PSG)による治療効果と比較検討した. セファログラムの撮影は座位の状態で側方から行ない,下顎の移動量はフランクフルト平面を水平基準面とし,下顎の基準点であるPointBの水平移動量を計測すると伴に,Airway areaの計測,前鼻棘(ANS点),喉頭蓋基部(Eb点),舌骨(H点)間の距離ならびにMAP装着時のANS-Eb間距離の短縮量を計測した.今回,治療を行なった患者は成人男性11名で,平均年齢は55.7歳であった. その結果,SAS患者11名のApnea Index(AI)の平均は、31.2から3.3に(P<0.05),Apnea Hypopnea Index(AHI)の平均も41.7から10.8に減少した(P<0.05).また,ANS-EbならびにANS-H間距離の平均は有意に短縮し,Airway areaの平均も有意に拡大した.さらに,SAS患者11名中AHIの値が15以下に減少し,かつ,その改善率が70%以上あった有効例7名は,すべてPointBの水平移動量が3.5mm以上あり,また,ANS-Eb間距離の短縮量も4.5mm以上あり,PointBの水平移動量が大きく,ANS-Eb間距離の短縮量が大きな者ほどSASの改善率が高く,両者の間には高い正の相関がみられた. 以上の結果より,MAPはSASの保存的治療において有用な装置であり,その効果は睡眠中下顎を前方に保持し舌根部を牽引し気道を拡大させることにより効果を発揮するものと考えられた.
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Research Products
(1 results)