1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯の移動中の歯根膜領域の血液量変化・および代謝活性の計測について
Project/Area Number |
08771929
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 拓郎 北海道大学, 歯学部, 助手 (70250462)
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Keywords | 近赤外光 / 代謝活性 / 至適矯正力 |
Research Abstract |
スタンダードエッジワイズ法による矯正治療を行っている被験者の、下顎犬歯の遠心移動の際のTotal Hb、Oxy-Hbの変化について近赤外光計測装置(島津無侵襲酸素モニタOM-100A島津社製)を用いて計測を行った。 遠心移動は、パワーチェインによって行い初期荷重150gになるように調節した。移動開始前、移動後14日目、28日目に荷重による圧迫側歯根膜血液量変化を計測した。14日目で移動前と比べて変化量が減少しているが、28日目では、移動前の変化と同程度まで回復していることが観察された。この理由として、圧迫されている歯根膜で、組織の修復が盛んに行われ、歯根膜の生理的状態が維持されていたためと思われる。これに対して、Oxy-Hbは、14日目、および28日目に移動前よりも大きな変化を示した。Oxt-Hb量の変化は、局所酸素分圧を反映するするため、その部位での代謝活性を直接反映しているものと思われる。 以上これらの2つの計測結果は、本計測システムの至適矯正力を知るためのモニタリングシステムとしての可能性を示唆するものと思われる。今後はさらに、より細かな組織の代謝活性を知るために、動脈血および静脈血の動態をそれぞれ分けて把握することも重要になってくる。本システムでは、Oxy-Hb、Deoxy-Hbについても計測が可能であることから、様々な条件下でデータを採取し、Total Hb、Oxy-Hb、Deoxy-Hb三者間の関係を明らかにすることが、至適矯正力を知るための今後の課題となると思われる。
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