1996 Fiscal Year Annual Research Report
6自由度変位測定法を用いた矯正力による歯の初期変位に影響を及ぼす力学的因子の解明
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08771964
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 教明 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (40230750)
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Keywords | 変位測定装置 / 初期変位 / 磁気センサ / 回転中心 / M / F比 |
Research Abstract |
矯正力による歯の移動の初期変位相で歯の回転中がどのように移動するかについて、研究を行った。ヒトを対象に、初期変位量を正確に測定するために、まず6自由度変位測定システムの性能を向上させた。本装置のキャリブレーション・システムの精度を高めるために、3次元自動パルス・ステージを用いて、各キャリブレーション・ポイントへの磁石の自動送り出しをコンピュータ制御で行い、各センサからの出力をA/Dコンバータを介して、パソコンに入力後、重回帰分析を行い、電圧-変位変換近似式を作成した。以上のキャリブレーションシステムの全自動化により、測定精度の向上が実現できた。 上顎中切歯に対し、舌側方向の力を歯冠上の特定の一点に負荷した時の2点の標点の初期変位量を測定し、回転中心の位置を求めた。この時、荷重量および荷重時間の変化による回転中心の位置の移動を観察した。その結果、荷重量および荷重時間の増加に伴い回転中心は根尖側から歯冠側へ移動することがわかった。これは、歯の移動にともなって、移動様式が変化することを意味していると考えられた。理論力学的には、歯の移動様式は回転中心の位置により決定され、力の大きさに関係なく、荷重点の位置すなわちM/F比(力系)により決められるとされていたが、今回の研究で生物学的には、歯の移動様式に影響を与える力学的因子はM/F比(力系)だけでなく、荷重量や荷重時間なども影響を及ぼしていることが示唆された。また、歯の移動開始時に歯体移動のための力系を与えても、歯の移動にともなって傾斜移動の傾向が強まることが生力学的に明らかにされた。 今後、荷重点の移動による回転中心の位置変化を観察することで、歯の抵抗中心の位置および位置変化も解析したい。さらに、生体変位測定法と有限要素法を統合させることにより、経時的な歯の移動を解析できるシステに発展させたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Noriaki Yoshida: "An experimental evaluation of effects and side effects of asymmetric facebows in the light of in-vivo measurements of initial tooth movements." American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. (in press).
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[Publications] Noriaki Yoshida: "A new facebow system for eliminating undesirable effects of high-pull headgear therapy." Kieferorthopaedie. (in press).