1996 Fiscal Year Annual Research Report
Streptococcus sobrinusのスクロース代謝酵素遺伝子の解析
Project/Area Number |
08771973
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
磯部 豊 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90264431)
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Keywords | ストレプトコッカス・ソブリヌス / グルカン / gtf遺伝子 |
Research Abstract |
目的:Streptococcus sobrinusf,菌体の内外でのスクロース代謝により齲蝕を発生させる。我々は,S.sobrinus OMZ176株のgtf遺伝子上流の塩基配列決定を行い,隣接するopen reading frame の塩基配列がStreptococcus downei MFe28株のgtfS遺伝子の塩基配列と非常によく似ているため,2つのgtf遺伝子が隣接し,オペロン形成をしている可能性を示した^<1)>。本研究ではgtfをはじめとするスクロース代謝酵素の遺伝子群の相互位置関係を深るため,スクロース分解活性を示す酵素の遺伝子クローニングを試みた。 方法:S. sobrinus SLl株(ATCC33478,Type strain の染色体DNA をPstIで切断後,プラスミドpUC19を用いて遺伝子ライブラリーを作成した。GTF活性の測定は29mM[^<14>C]sucroseを用い,生成した[^<14>C]glucanをグラスファイバーフィルター上に集めて洗浄後,ラジオアイソトープ法で行った。スクロース分解活性の測定にはSomogyi法を用いた。 結果および考察:Somogyi法により遺伝子ライブラリーの213個のクローンをスクリーニングしたところ2つのポジティブクローン,pYTK100(9.3kb)およびpYTK104(7.7kb)を得た。この2つの組換え体DNAの遺伝子地図は互いに異なっていた。pYTK100を含む大腸菌はGTF活性を示したが,pYTK104を含む大腸菌はスクロース分解活性のみを示した。また,pYTK100がコードするGTFは水溶性グルカン合成活性を示し,その酵素活性はプライマーとしてdextran T10 を添加しても変化しなかった。S.sobrinusには菌体外GTFとスクロースを分解する菌体内インペルターゼ(sucrose-6-phosphate hydrolase)が存在することが知られている。今回クローニングした2つの遺伝子はこれらの酵素をコードしているのではないかと考えられる。 文献:1)磯部 他,1991,口腔衛生会誌41:732-734.
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[Publications] 磯部 豊: "Streptococcus sobrinus SL1株のgtf遺伝子のクローニング" 口腔衛生会誌. 43. 104-112 (1993)
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[Publications] 磯部 豊 他: "DNAフィンガープリント法によるS.sobrinus SL-1とOMZ176の染色体DNAの比較" 口腔衛生会誌. 41. 729-731 (1991)
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[Publications] 磯部 豊 他: "S.sobrinus OMZ176のgtf p1遺伝子上流域のDNAシークエンス" 口腔衛生会誌. 41. 732-734 (1991)
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[Publications] N.HANADA. Y.ISOBE 他: "Nucleotide sequence analysis of Hu gtfTgen from S.sobrinus OMZ176" Infection and Immunity. 61. 2086-2103 (1993)