1996 Fiscal Year Annual Research Report
ジオキサビシクロ[3. 2. 1]ヘプタン型キラル合成素子の創製と活用
Project/Area Number |
08772010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 孝彦 東北大学, 薬学部, 助手 (90271915)
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Keywords | キラル合成素子 / 不斉ジヒドロキシ化反応 / 昆虫フェロモン / レボグルコセノン / フロンタリン / マルチストリアチン / エキソブレビコミン / 2-アルケニルフラン |
Research Abstract |
天然の糖類はキラル資源として広く活用されている.しかしながら特定のキラリティーのみに限定されていることや4級キラル中心の構築を含む多様の変換を行うことは困難である.そこで糖の持つ高い変換能力とキラリティーを保ちながら,しかも糖に欠けている機能性を持った新規キラル合成素子を開発し様々な生理活性天然物への適用を図ることを目的に本研究に着手し,所期の目的を達成した. まず,2-ビニルフランにシャープレス不斉ジヒドロキシ化反応(不斉AD反応)を行い,90%ee以上の不斉収率でキラルジオール体の両対掌体を得た.両対掌体のそれぞれについてフラン環の酸化的環拡大反応を行いキラルなピロン誘導体を経て期待したキラルなジオキサビシクロ環系化合物を効率良く得ることが出来た.エノン部ケトンをワ-トン転位反応によって転位させ,ついで得られるアリルアルコールを酸化しレボグルコセノンの両対掌体を得ることに成功した.本法は従来天然糖質からしか得ることが出来なかったレボグルコセノンを完全な合成化学的手法によって得る途を開いたものであり,画期的な意義を持つと思われる. ついで確立した手法を適用することによって天然糖質からは得ることの困難なジオキサビシクロ環系を持ついくつかの昆虫フェロモン類のエナンチオ制御合成を検討した.その結果,適切な2-アルケニルフランへのAD反応とそれにつづく環拡大反応を経て天然に両対掌体の存在するフロンタリンの両対掌体,さらに(-) -β-マルチストリアチンおよび(+) -エキソブレビコミンの合成に成功し,本手法の汎用性の高さを例示することが出来た.
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[Publications] Takahiko Taniguchi: "An Expedient Preparation of Chiral Building Blocks Having Levoglucosenone Chromophore : a New Enantiocontrolled Route to (-) -β-Multistriatin and (+) -exo-Brevicomin" Chem. Commun.1477-1478 (1996)
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[Publications] Takahiko Taniguchi: "Non-Carbohydrate Route to Levoglucosenone and Its Enantiomer Employing Asymmetric Dihydroxylation" Synlett. 971-972 (1996)
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[Publications] Takahiko Taniguchi: "An Enantiocontrolled Synthesis of Both Enantiomers of Frontalin" Synthesis. (印刷中). (1997)