1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08772053
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Research Institution | 国立衛生試験所 |
Principal Investigator |
山越 葉子 国立衛生試験所, 有機化学部, 研究員 (40239926)
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Keywords | [60] fullerene / hemolysis / membrane |
Research Abstract |
フラーレンの生体膜に対する影響を調べる目的で、界面活性剤ポリビニルピロリドンで可溶化したC_<60>水溶液を用い、可視光照射下兎赤血球の溶血実験を行った。その結果、照射2〜4時間において有意に溶血現象がみられ、C_<60>が光増感反応により膜破壊を行うことが示された。ついで、膜親和性フラーレンの合成の第一段階であるC_<60>カルボン酸誘導体の合成を行った。すなわち、メチルエステル基を有するベンジルアジド誘導体(Methyl 4-azidomethylphenylacetateおよびMethyl 4-azidomethylphenylbenzoate)を合成し、C_<60>と反応させた。その結果、各々のベンジルアジド誘導体から1,3-双極子付加反応を経て脱窒素した結合骨格を有する付加体を得た。反応過程は高速液体クロマトグラフィーにて追跡し、生成した付加体はカラムクロマトグラフィーにて精製し、^1H-,^<13>C-NMRおよびLSI-MSにて構造決定を行った。その結果、付加体はモノ付加体であり、C_<60>上での付加は5員環と6員環との縮合部であり、5,6-openの形式であることが分かった。合成した付加体は水素化ナトリウムにて脱保護し、メチルエステルからカルボン酸へと導いた。また、上記の方法にてベンジルアジド誘導体とC_<60>との反応により効率よく付加体が得られることが分かったため、アクリジン基を有するベンジルアジド誘導体(9-(4-azidomethylphenyl)acridine)との反応生成物の合成も行った。これらの化合物は、膜親和性官能基を有するフラーレン誘導体としてフラーレンの生体膜に対する影響を調べるための有効なツールとなることが期待できる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamakoshi,Y.N.,Yagami,T.,Sueyoshi,S.& Miyata,N.: "Acridine Adduct of [60] Fullerene with Enhanced DNA-Cleaving Activity" Journal of Organic Chemistry. 61. 7236-7237 (1996)
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[Publications] Tsuchiya,T.,Oguri,I.,Yamakoshi,Y.N.,& Miyata,N.: "Novel harmful effect of [60] fullerene on mouse embryos in vitro and in vivo" FEBS Letter. 393. 139-145 (1996)
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[Publications] Tsuchiya,T.,Oguri,I.,Yamakoshi,Y.N.,& Miyata,N.: "FFECT OF [60] FULLERENE ON THE CHONDROGENESIS IN MOUSE EMBRYONIC LIMB BUD CELL SYSTEM" Fullerene Science & Technology. 4. 989-999 (1996)