1996 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御ペプチドをリ-ドとした選択毒性の高い抗菌性ペプチドの創製
Project/Area Number |
08772061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学部, 助手 (00201773)
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Keywords | 抗菌剤 / グラム陰性菌 / マガイニン / ペプチド / 静電的相互作用 / 膜 |
Research Abstract |
優れた抗菌剤を創製するため,アフリカツメガエル由来の生体防御ペプチドであるマガイニンをリ-ド化合物とし,異なった電荷(0-6+)を持ついくつかの誘導体をFmoc固相法により合成した.マガイニンを大腸菌に添加したところ,速やかに細胞内よりカリウムイオンが流出し菌が死滅したことから,膜との相互作用の重要性が示唆された.グラム陰性菌に対する抗菌力はペプチド正電荷の増大に伴い大きくなった.これは外膜のバリアー能を破壊するのに正電荷が重要な働きをしているためであることを解明した.走査型電子辟徴鏡を用いて,大腸菌の表面構造を観察したところ,ペプチドによって外層が粗になり乱されていた.ペプチドが外膜に存在するリポ多糖と相互作用し,ヘリックスを形成して膜透過性を亢進したことから,リポ多糖が第一の標的分子であることが判明した.外膜とは対照的に,内膜に対するlysis活性は6+ペプチドの方が4+ペプチドより小さくなった.人工脂質小胞を用いた研究から,これは6+ペプチドが形成するポア寿命が短いためであることが分かった.3種のグラム陰性菌の内膜に対するマガイニン誘導体の作用を比較したところ,酸性リン脂質含有量の多い膜ほど,ペプチドが効果的に作用し,結果として抗菌力も高くなることが明らかとなった.従って,第二の標的は内膜の酸性リン脂質であると考えられる.以上の結果より,ペプチドの正電荷は,菌の負電荷を有する分子(リポ多糖・リン脂質)との相互作用に重要であり,ペプチドの正電荷を増大させることが優れた抗菌作用の発現に必須であることが結論された.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Katsumi Matsuzaki: "Transbilayer Transport of Ions and Lipids Coupled with Mastoparan X Translocation" Biochemistry. 35・25. 8450-8456 (1996)
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[Publications] Katsumi Matsuzaki: "Magainin 2 Induced Rapid Flip-FLop of Phospholipids Coupled with Pore Formation and Peptide Translocation" Biochemistry. 35・35. 11361-11368 (1996)
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[Publications] Katsumi Matsuzaki: "Modulation of Magainin 2-Lipid Bilayer Interactions by Peptide Charge" Biochemistry. 36(in press). (1997)
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[Publications] Katsumi Matsuzaki: "Interactions of an antimicrobial peptide,magainin 2,with outer and inner membranes of gram-negative bacteria" Biochem.Biophys.Acta. (in press). (1997)
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[Publications] Katsumi Matsuzaki: "Biomembrane Strucutures" IOS Press(in press), (1997)