1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08772112
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平本 一幸 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (50222253)
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Keywords | 加熱食品 / メイラード反応 / 活性酸素 / 変異原 / フラノン / ピラノン / しょうゆ / 小核 |
Research Abstract |
私は調理のモデルである加熱Maillard反応で生成するDNA鎖切断物質としてHHMFを同定しており,今年度は新規DNA鎖切断物質を単離同定した。グルコースとグリシンの水溶液を加熱し,酢酸エチルで抽出後HPLCを行なったところ,HHMFの他にDNA鎖切断活性を持つピークが一つ認められた。このピークを単離精製し,Maillard反応生成物として知られている2,3-dihydro-3,5-dihydroxy-6-methyl-4H-pyran-4-one(DDMP)と同定した。DDMPは濃度と反応時間に依存してスーパーコイルDNAを切断し,サルモネラ菌TA100に対して直接変異原性を示した。 また私は醤油中のDNA鎖切断物質としてHMFを同定しており,今年度はそれ以外のDNA鎖切断物質を単離同定した。醤油を酢酸エチルで抽出しHPLCを行なったところ、DNA鎖切断活性を持つピークがHMFの他に2つ認められた。これらを単離精製し,ひとつを2,5-dimctyhl-4-hydroxy-3(2H)-furanonc (DMHF),他を醤油の主な芳香成分である4-hydroxy-2(5)-ethyl-5(2)-mcthyl-3(2H)-furanone (HEMF)と同定した。DMHFとHEMFは濃度と反応時間依存的にDNAを切断し,サルモネラ菌TA100に対する直接変異原性,マウスに対する小核誘発性を有した。 DDMP,DMHF,HEMFによるDNA鎖切断は活性酸素スカベンジャーで阻害された。ESRスピントラップ法によりこれら全てからヒドロキシルラジカルの発生が認められた。この研究により,食品に含まれるMaillard反応生成物DDMP,DMHF,HEMFが活性酸素を発生しDNAを切断することを明らかにした。変異原性,小核誘発性には活性酸素を介したDNA損傷の関与が考えられる。
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[Publications] T.Kato: "Formation of the mutagenic/carcinogenic imidazoquinoxaline-type heterocyclic amines through the unstable free radical." Carcinogenesis. 17(11). 2469-2476 (1996)
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[Publications] K.Hiramoto: "Effect of plant phenolics on the formation of the spin-adduct of hydroxyl radical and the DNA strand breaking by hydroxyl." Biol.Pharm.Bull.19(4). 558-563 (1996)
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[Publications] K.Kikugawa: "Formation of free radical mutagens in foods and its prevention" Environ.Mutagen Res.18. 47-51 (1996)