1996 Fiscal Year Annual Research Report
Bacillus cereus菌由来スフィンゴミエリナーゼの触媒機構の解明
Project/Area Number |
08772123
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤井 忍 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (80218966)
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Keywords | スフィンゴミエリナーゼ / スフィンゴミエリン / 触媒機能 / マグネシウムイオン |
Research Abstract |
Bacillus cereus菌由来のスフィンゴミエリナーゼ(SMase)の126位と156位のAspをGlyに置換した変異体(それぞれD126GおよびD156G)を用い,合成基質である2-hexadecanoylamino-4-nitrophenylphosphorylcholine(HNP)を基質とする酵素反応パラメータのpH依存性を調べ,以前wild-typeで得られた結果と比較した.その結果,D126Gの場合,wild-typeにおいて基質結合と触媒活性に影響をおよぼす1つのアミノ酸残基の関与が消失した.このことから,126位のAspは,基質結合と触媒活性の両方に関与することが明らかとなった.さらに,D156Gの場合,pHプロファイルはwild-typeとほぼ同様であることから,酵素作用には同一のアミノ酸残基が関与すると考えられるが,結合力と触媒活性の強さは共にwild-typeより増加した.このことから156位のAspはHNPに対する結合や加水分解能を弱める役割を持つと考えられる. 次に,真の基質であるスフィンゴミエリン(SM)を基質に用い,wild-type SMaseについて酵素反応パラメータのpH依存性を調べた.その結果,HNPを基質に用いた場合と同様,基質結合と触媒活性にはAsp126が関与したが,HNPの触媒活性に影響をおよぼすアルカリ領域にpK値を持つアミノ酸残基の関与が見られなくなった.このことから,HNPの触媒作用への関与が示唆されたアミノ酸残基は,SMaseの触媒作用に本質的に必須でないか,またはSMと結合した酵素の遷移状態複合体におけるpK値が8.5(測定した最大pH)よりもアルカリ性側にシフトした可能性が考えられる.
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