1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖制御に関わるプロスタグランジンH合成酵素アイソザイムと基質プールの解析
Project/Area Number |
08772124
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
堀 隆光 摂南大学, 薬学部, 講師 (00199522)
|
Keywords | プロスタグランジン / プロスタグランジンH合成酵素 / シクロオキシゲナーゼ / 細胞増殖 / 細胞増殖因子 / 増殖制御 |
Research Abstract |
プロスタグランジンは、多種多様な生理作用を持っている生理活性脂質であり、プロスタグランジン生合成系における中心的酵素はプロスタグランジンH合成酵素(PGHS)である。真核細胞においては、2種のPGHSのアイソザイム、PGHS-1とPGHS-2が存在し、両酵素の一次構造のホモロジーは約60%である。両酵素間の最も大きな相違は発現制御の違いであるが、この二つの酵素の生理機能の相違はいまだ明確ではない。プロスタグランジンは細胞増殖に対して、増殖促進・増殖抑制の正負両方向の制御に働きうることが報告されており、本研究では特に、増殖抑制制御における2種のPGHSの寄与およびその基質プールについての解析を行うことを目的とした。ヒト正常繊維芽細胞(FS-4)を上皮増殖因子(EGF)あるいは腫瘍壊死因子(TNF)で刺激すると細胞増殖を促進すると同時にプロスタグランジンの生合成が亢進し、産生されたプロスタグランジンが細胞増殖に抑制的に作用して負の制御因子として機能していることを既に報告している。本研究ではまず両酵素の阻害剤を用いてそれらの効果を検討した。その結果、阻害剤であるインドメタシン、NS-398は10^<-4>Mという高濃度を用いたときにのみ増殖抑制効果を抑えて増殖を強く促進させたため、PGHSとしては2種とも機能している可能性が示された。さらに、2種の酵素の特異的抗体を用いてウエスタンブロッティングを行ったところ、PGHS-2蛋白量には有意な変化が認められずPGHS-1の寄与が大きいことが示唆されたが、用いた抗PGHS-1抗体の反応性が悪くPGHS-1蛋白の変化は検出できなかった。また、アンチセンスDNAやPGHS変異体遺伝子を用いた解析を行っているが現在のところ決定的な結果は得られていない。基質プールの解析と共に今後の課題である。
|
Research Products
(1 results)