1996 Fiscal Year Annual Research Report
老人医療施設における介護労働者の労働過程と職業についての意識に関する質的研究
Project/Area Number |
08772153
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 千冬 群馬大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (60272267)
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Keywords | 介護職員 / 介護力強化病院 / 老人保健施設 / 介護福祉士 |
Research Abstract |
1.介護力強化病院における介護職員の労働と意識: 病院調査は、A.付き添い家政婦経験者中心職場、B.看護補助者経験を有する中高年女性職員中心職場、および、C.未経験者および新卒介護福祉士中心職場の3施設で参与観察および聴き取り調査を実施した。介護業務の特徴として、A、Bの職場では患者への日常生活援助が介護職員のみに任される傾向が強く、看護職員との共同作業の少なさが目立った。Cの職場では、生活援助は看護職員と共同で行い、レクリエーションはもっぱら介護職員に委ねられていた。介護業務の「やりがい」としては、ほぼ全員が「感謝されることの喜び」と「患者の回復」をあげたが、生活援助に携わる機会の多いAとBの職員からは、患者との具体的エピソードが数多く聴取された。経歴・教育背景の相違に関わらず教育・研修の充実を要求する声は強いが、希望する研修内容や領域については、経歴等によってもやや傾向が異なっていた。 2:老人保健施設における介護職員の労働と意識: 老人保健施設(計5施設)での調査によって、当該施設では、その時々の入所者のADLや健康状態に介護業務内容が左右されやすく、痴呆や健康状態が不安定な入所者が多い場合、健康状態の観察・判断も介護職員に任されがちな傾向が把握された。ただし、レクリエーション関係では、看護職員、理学・作業療法士との共同作業が多かった。意識面では、若年の職員、特に介護福祉士の中に、現在の業務には満足しているが、キャリアアップの点で、業務継続には不安を持つ者が多く、これに共通して、管理職(婦長等)の側からも、今後、介護職員にいかなる管理ポストを用意すべきかが問題だとする声があがっていた。
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