1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08772154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 敬 東京大学, 医学部, 助手 (40272421)
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Keywords | 高齢者医療 / 医療費 / 医療消費量 / 国際比較 |
Research Abstract |
日米における高齢者の医療消費については,日本における単価の低さと消費量の多さが示されている。本研究では,高齢者医療の中で、疾患別の入院医療を取り上げ、消費量と単価の観点から比較を試みる。消費量としては、年間1人当たりの疾患別入院日数を用い、単価として入院1日当たりの医療費を用いた。日本における入院日数は、患者調査での疾病中分類(厚生省99分類)別の65才以上の患者数を基に同数の患者が定常的に入院していると仮定して年間の1人当たりの入院日数を推定した。1日当たり医療費は、社会医療診療行為別調査から老人医療受給対象者の疾患別1日当たり医療費を用いた。アメリカでは、病院退院患者サーベイから65才以上の高齢者入院患者数をもとに日本と同様の推計を行った。また、日本では急性期医療に引き続く継続的なケアも病院で提供されているのに対して、アメリカではナーシングホームで提供される場合が多いため、各疾患のナーシングホームへの退院率とナーシングホームでの平均在院日数からナーシングホームでのケア日数も考慮して比較した。疾患はICD-9のコードをもとに日本で用いられている疾病中分類に再コード化したものを用いている。1日当たり医療費についてはAHCPRから発表されている疾患別医療費データを用いた。データは両国とも1990年のものを用い、男女別年齢階級別に分析を行った。結果としては、日本において高齢者1人当たり入院日数が長いのは脳梗塞で、以下、老年期の精神病、高血圧性疾患、虚血性心疾患となる。アメリカでは、骨折が最も長く、肺炎、虚血性心疾患、脳梗塞と続いている。脳梗塞や高血圧性疾患では日本の方が長く、骨折や虚血性心疾患ではアメリカの方が長い。単価については総じて日本の方が安く、年間医療費では、日本では脳梗塞、骨折、虚血性心疾患の順となり、アメリカでは虚血性心疾患、骨折、肺炎、脳梗塞となる。
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