1996 Fiscal Year Annual Research Report
血清Lp(a)濃度を規定しているアポ(a)遺伝子の個体差の解明
Project/Area Number |
08772159
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 公子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90215319)
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Keywords | apolipoprotein(a) / Lp(a) |
Research Abstract |
血清Lp(a)濃度には幅広い個体差がみられるが、健康な人ではその大部分はLp(a)の構成成分であるapolipoprotein(a)(apo(a))遺伝子の個体差によって決められている。apo(a)遺伝子の個体差のうち血清Lp(a)濃度の決定に最も大きな影響を与えているのは、遺伝子サイズの個体差である。 遺伝子サイズ以外のLp(a)濃度を規定する個体差についてはほとんど不明であるが、apo(a)遺伝子の転写活性の違いがLp(a)濃度に影響を与えている可能性が強い。そこで、本研究では、apo(a)遺伝子5′非翻訳領域の塩基配列の個体差と血清Lp(a)濃度との関連を明らかにすることを目的とした。 apo(a)遺伝子の5′非翻訳領域には、転写開始点の上流-1231にTTTTAリピートの繰り返し回数、-772にG→A、+93にC-T、+121にG→Aの4種類の多型が存在することがわかった。健常人257名を対象として、これら4種類の多型と血清Lp(a)濃度との関係を調べたところ、TTTTAリピートが8回のホモ接合体のLp(a)濃度(16.8±14.8mg/dl)は、9回のホモ接合体のLp(a)濃度(7.3±3.1mg/dl)に比べて有意に高く(p<0.05)、TTTTAリピートの繰り返し回数の個体差が血清Lp(a)濃度の決定に関係していることが示唆された。しかし、残りの3種類の多型の遺伝子型と血清Lp(a)濃度との間には、有意な関係はみられなかった。一方、虚血性心疾患患者294名を対象として同様の分析を行ったところ、TTTTAリピートが8回のホモ接合体のLp(a)濃度(28.1±25.4mg/dl)は、9回のホモ接合体のLp(a)濃度(10.9±9.4mg/dl)に比べて有意に高く(p<0.0001)、また+93 C→T多型のCCのホモ接合体のLp(a)濃度(27.7±22.4mg/dl)は、TTのホモ接合体のLp(a)濃度(15.6±13.1mg/dl)に比べて有意に高かった(p<0.01)。虚血性心疾患患者では健常に較べてLp(a)濃度が高値であるが、そのLP(a)濃度の差は、TTTTAリピートが8回のホモ接合体および+93 C→T多型のCCのホモ接合体において顕著であった。このことは、虚血性心疾患患者における血清Lp(a)濃度の上昇にapo(a)遺伝子の5′非翻訳領域の個体差が関係している可能性を示唆している。
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