1996 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障治療剤投与の適正化を目指した薬物体内動態・薬効の母集団解析
Project/Area Number |
08772167
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 育子 京都大学, 医学研究科, 助手 (50273446)
|
Keywords | アセタゾラミド / 母集団解析 / フォーマコキネティックス / ファーマコダイナミックス / NONMEM / 眼圧 |
Research Abstract |
炭酸脱水酵素阻害剤であるアセタゾラミドは、唯一の内服用緑内障治療剤として眼科領域で広く使用されているものの、副作用の発現頻度は高く、その使用には困難を伴っていた。本研究では、アセタゾラミド投与の適正化を目指して、医師との連携により、患者におけるアセタゾラミドの体内動態と薬効の母集団解析を行った。 京都大学医学部附属病院眼科入院中でアセタゾラミド内服している一過性の高眼圧患者17名を対象に、経時的な眼圧測定と採血を行った。眼圧はGoldmann圧平眼圧計により測定し、アセタゾラミド血漿中濃度は、HPLC法により定量した。体内動態は繰り返し投与を含む1次吸収1-コンパートメントモデルを、薬効はEmaxモデルを仮定し、拡張最小二乗法プログラムNONMEMにより解析した。見かけのクリアランス(CL,L/hr)は、個々の患者の体重(BW)と血清クレアチニン値(Scr)と以下の関係にあった:CL=0.0255・BW/Scr。また、アセタゾラミドによる眼圧最大下降値(Emax)は、7.2±1.5mmHg(mean±SE)であり、Emaxの半分の薬効をもたらす濃度(EC50)は、1.64±1.43μg/mlであることから、アセタゾラミドによる十分な眼圧下降効果は、血漿中濃度5〜10μg/mlで期待でき、それ以上の血中濃度の上昇は薬効の増強にはつながらないことが明らかとなった。さらに、得られた体内動態・薬効の速度論パラメータに基づき、個々の患者の体重と血清クレアチニン値を用いたアセタゾラミド投与量のノモグラムを作成した。本研究で得られた知見は、個々の患者に適した安全かつ有効なアセタゾラミド治療を推進する上で有用な情報となると考える。
|
-
[Publications] I.Yano et al.: "Evaluation of renal tubular secretion and reabsorption of levofloxacin in rats" Pharmaceutical Research. (in press). (1997)
-
[Publications] 乾 賢一,矢野育子: "薬剤師のための服薬指導ガイド" 文光堂, 985 (1996)
-
[Publications] 乾 賢一,矢野育子: "最新内科学大系第1巻:医師と患者" 中山書店, 343 (1997)