1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08772200
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木原 路及 東京大学, 医学部, 助手 (80280923)
|
Keywords | 院内感染 / 酸性水 / 手洗い / MRSA |
Research Abstract |
今年度の研究では申請課題のなかでも基礎的な次の2点をテーマとして、病棟看護職の手洗いについて細菌学的調査を中心に行った。 1 ICU患者の処置後の強酸性水(低塩素濃度、試用)による手洗いの効果と、患者・処置の種類の影響 2 MRSA感染者を含む一般病棟患者の処置後の弱酸性水(既存)による手洗いの効果と、患者・処置の種類の影響 なおいずれも比較対象は従来法の浴用石鹸での手洗いであり、手洗い手技は統一し、通常業務の中での手洗いの前後でスタンプ法により手指付着菌を採取、生化学的同定の結果から手洗い効果を分析した。 上記1の調査では、菌種によらず手指の常在菌と考えられるものに関しては強酸性水・石鹸とも安定した除菌効果は得られず、また通過菌に関してはいずれの手洗いでもほぼ除菌されるという結果を得た(n=34)。ただそのような強酸性水手洗いと石鹸手洗いとの差異以上に、重症者への接触度の高い全身清拭+シ-ツ交換などの処置内容、呼吸・循環の重篤性にとどまらず全身皮膚疾患をも有する患者、等の条件が、処置後の汚染度の高さ、そして手洗い後の残存菌の存在に影響していた。 上記2の調査では、手洗い後の残存菌の有無・多少に関してはやはり弱酸性水と石鹸手洗いとの間で有意な差は見られなかった(n=124)。手洗い所要時間は酸性水では石鹸の約半分であり、反復長期使用による皮膚障害(簡易皮脂量測定器の測定値)は見られなかった。ケアの種類と汚染度は調査1同様の結果を得、患者についてはMRSA保菌者や感染者同様の排菌のある者の存在、保菌者・感染者処置時の手袋不要の場合、などについてケースを検討した。このような排菌者の扱いについては今後さらに調査例数を増やしていく予定である。
|