1996 Fiscal Year Annual Research Report
随意的陽圧呼吸によって好気的運動機能を改善するためのマスクの開発
Project/Area Number |
08780058
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
寺沢 宏次 信州大学, 教育学部, 助教授 (30197793)
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Keywords | 陽圧呼吸 / 運動 / 動脈血酸素飽和度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、運動時に陽圧呼吸法を用いて、動脈血の酸素化が最も亢進する最適呼気圧と換気量を決定し、この現象のメカニズムの解明をすることであった。運動強度にかかわらず、マスク内圧が何cmH_2Oで一定に保たれることが動脈血酸素飽和度(SaO_2)増加のために最良なのかを明らかにするために、CPPB(continuous positive pressure breathing)持続陽圧呼吸装置を開発作製し、マスクの呼気内圧を2、4、5CmH_2Oの3つの段階で一定に保ちながら自転車エルゴメーターにより運動し、実験をおこなった。実験時の環境条件は、信州大学所有の低圧チャンバーを用い、標高3000mの状態に設定した。運動のプロトコールは、5分間安静の後、被験者の50%VO_2Maxで15分間運動し、心拍数、SaO_2の値が安定したところで、それぞれ呼気内圧を変えながら5分間の運動をおこなった。その結果、呼気内圧が5CmH_2Oの時、SaO_2に有意な増加が見られたが、その増加は3分程度であった。これは、呼吸数、換気量に依存しているのではないかといった他の研究者からの指摘もあり、今度は安静時における普通呼吸と呼気内圧を加えながらの呼吸で呼吸数、換気量を一定に保ち実験をおこなった。その結果、普通呼吸よりも呼気内圧を加えた方がSaO_2に有意な増加が見られた。 今後の課題としては、呼気内圧を一定に保った時、どの程度の運動強度でSaO_2に有意な増加が見られるのかを検討していきたいと考えている。今回学会発表をおこなえるデータを収集することはできなかったが、この実験が糧になることは確実であり、このような機会を与えて下さったことに感謝の意を表します。
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