1996 Fiscal Year Annual Research Report
「遺伝子発現の調節」を通して見る持久トレーニングに対する骨格筋の適応メカニズム
Project/Area Number |
08780066
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10252305)
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Keywords | nuclear respiratory pactor-1 / c-fos / c-jun / endurance exercise / rat |
Research Abstract |
【目的】本研究では、1回の持久運動が、ミトコンドリア遺伝子の発現調節因子であるNuclear respiratory factor-1(NRF-1)、および運動刺激の細胞内情報伝達系のより上流でミトコンドリア遺伝子の発現と関係している可能性が考えられるc-fos、c-jun遺伝子の発現に及ぼす影響を運動後24時間にわたって検討した。【方法】8週齢のSpragure-Dawley系雌ラット20匹を用いた。全てのラットに対する2週間のトレッドミルによる歩行訓練の後、ラットに25m/minのスピードで90分間の持久走を負荷し、運動前、運動後0.5、3、6、および24時間の各時点でラットを頚椎脱臼法により屠殺し、直ちにヒラメ筋を摘出した後、フリーズクランプした。ヒラメ筋のNRF-1、c-fos、c-junおよびβ-actinのmRNA濃度を定量的なreverse transcription polymerase chain reaction法(RT-PCR法)によって定量した。【結果】ヒラメ筋のc-fos mRNAの発現は、運動後0.5時間の時点で運動前コントロール群の4倍に増大した後、運動後24時間にわたって漸減した。また、c-jun mRNAの発現は、運動後3時間の時点でコントロール群の2倍に増大した。さらにNRF-1mRNAの発現は、運動後0.5時間より漸増し運動後6時間の時点でコントロール群の1.5倍に増大した。しかし、いずれのmRNAの発現も運動後24時間の時点ではコントロール群の値と同様のレベルを示した。これらの結果は、本実験で用いた1回の運動刺激が、ミトコンドリアの増大を惹起するシグナルとして核の遺伝子に伝達されていることを示唆している。
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