1996 Fiscal Year Annual Research Report
小児肥満児に対する適度な運動・食事療法が内蔵脂肪蓄積状態に及ぼす影響について-X線CT画像解析による検討-
Project/Area Number |
08780069
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨樫 健二 三重大学, 教育学部, 講師 (10227564)
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Keywords | 小児肥満 / 運動療法 / 食事療法 / 体脂肪分布 / 内臓脂肪 |
Research Abstract |
肥満に伴う内臓脂肪の過剰な蓄積は糖・脂質代謝異常や心血管系疾患と密接に結びついていることが知られている。本研究は食事、運動量の管理を十分できる入院管理下で治療を行っている肥満児童を対象に、各個人毎に設定した至適運動強度での運動療法および食事療法が肥満児の体脂肪分布、成人病危険因子に対してどのような影響をもたらすか検討した。 被検者は長期入院治療を行う単純性肥満児童9名(年齢11.4±1.3歳)とした。各児の体力レベルを判定するために自転車エルゴメータを用いた漸増負荷試験を行った。運動療法は19週間にわたる病院の日課としての運動(ジョギング、縄跳び、肥満体操等)と、そのうち10週間は自転車エルゴメータを用いた50%Vo2 max強度の運動を1日20〜30分、週3〜4回行った。食事療法は肥満度に応じて1200〜1800kcalの間で行った。皮下・内臓脂肪量の定量は臍高部CT画像より行った。採血は早朝空腹時に行い、成人病罹患に関わる項目をそれぞれ食事+運動療法前後において比較検討した。 食事+運動療法終了後、体重は平均60.5kgから51.3kg(-14.7%)へと有意な減少(p<0.001)を示した。体重あたりの最大酸素摂取量は運動療法後29.8から36.9ml/kg/minへと有意な(p<0.05)増大を示した。皮下脂肪面積は平均で249.5cm2から158.9cm2(p<0.01)、内臓脂肪面積は46.0cm2から28.5cm2(p<0.05)へと有意に減少した。皮下・内臓脂肪の減少に伴い血液性状からみた成人病危険因子は有意に低下した(p<0.05)。 以上の結果より、個人毎に設定した食事+運動療法の併用は、摂取カロリーの制限と消費カロリーの増大から体脂肪の減少を促し、それに伴い体重、体脂肪率の減少、各種成人病危険因子を低下させ、将来の成人病予防に対して有効であることが示唆された。
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