1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08780073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 知之 大阪大学, 健康体育部, 助手 (00209503)
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Keywords | 模倣 / セルフモデル / 動作解析 / バーチャルモデル / コンピュータグラフィックス |
Research Abstract |
運動を学習する際には、まず示範者の運動(モデル)を観察し、それを模倣することが有効な手段である.モデルの対象は、上級者の場合が多いが、ビデオ機器を利用し自分自身をモデルにするセルフモデルの場合もある.本研究は、両モデルの長所を活かし、両者の中間に位置する架空のモデルを開発することを目的として実施された.まず学習者の人体セグメントモデルを人体計測法と画像解析法によって作成した.次に、実際の投球動作を3次元的に解析し、各セグメントの相対座標位置を求めた.このデータに人体セグメントモデルを合わせることによってコンピュータグラフィックスによるセルフモデルを作成した.上級者についても同様の解析・操作を行い、学習者の目標モデルを作成した.ここで、本研究における学習者と上級者の動作の違いとして、コッキング期の上肢の関節角度(肩関節内外転角、肩関節内外旋角、肩関節水平内転角および肘関節の最大屈曲角)の違いが顕著でり、肩関節外転運動および水平内転運動のパターンの相違が認められた.そこで、学習者の運動を上級者に近づけるべく、肩関節外転運動および水平内転運動について任意にkinematicデータを操作し、その結果得られたデータを元に両者の中間に位置するモデルを作成し、これをAdvanced Virtual Self-model(AVS model)と命名した.現在のところ、人体セグメントモデルの作成には、人体計測法のみの方が時間的な面から有効であることが示唆された.また、AVS modelは矯正すべき運動を視覚的に把握できるためにイメージしやすいという内省を得ている.しかし問題点として、モデルのリアリティとモデル作成時間のTrade-offが挙げられる.この問題はごく近い将来、電子機器の発展と普及により解決できるであろう.今後、このモデルの利用は、運動学習指導法の研究に大いに役立つものと期待できる.
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