1996 Fiscal Year Annual Research Report
記録の変動性の実用的評価方法の開発と記録の変動性と記録の発生パターンについて
Project/Area Number |
08780079
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
國土 将平 鳥取大学, 教育学部, 助教授 (10241803)
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Keywords | 運動能力 / 発達 / 変動性 / Logistic関数 / 級内分散 |
Research Abstract |
競技力の一側面である記録の変動性の指標として、Logistic関数利用して評価してきた。この方法では、関数の適用が難しいことや評価の簡便性より、現場での利用が難しく、実用的でない側面がある。そこで、本研究では、第一に記録の変動性をより簡便に評価する方法の構築を目的とした。 一般に、標本をいくつかの集団に分けた場合、全分散は、級内分散と級間分散の和によって得られる。短期間で能力の変動がないと仮定できる期間では、級内分散が記録の変動性を示し、長期にわたる能力変化は級間分散で示すことができると考えられた。従って、級内分散の加重平均を用いて記録の変動性とする事が可能であった。また、項目反応理論における項目の識別力を示すLogisticモデルのパラメータa_1と正規累積モデルのパラメータa_nは近似的に1.7a_1=a_nの関係がある。加えて、標準得点の考え方を応用すると、a_nは級内分散の平方根の逆数を用いることができる。級内分散による評価方法はLogistic関数を用いる方法より統計的仮定が少なく、計算も比較的容易であることから、級内分散による評価方法はLogistic関数を用いた評価方法よりも優れる可能性が示唆された。 Logistic関数を用いた評価方法と、級内分散による評価方法を検討した結果、いずれの種目においても0.95を越える非常に相関係数が得られた。従って、級内分散による評価方法が妥当であることが明らかとなった。また、Logistic関数のパラメータ(1.7a_1)の方がa_nより約25%大きな値を示した。これは、Logistic関数の適用が対数変換をした後、最小2乗法を用いていることが原因である可能性が示唆された。 第二の目的は、記録の変動性と記録の発達のパターンを明らかにすることである。その結果、発達期では恒常的に伸びる記録に対して、変動性は連続的に上昇、下降を繰り返し、ピーク期になると、記録と変動性が連動する傾向が強いことが明らかとなった。
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