1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08780089
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
前田 明 福島県立医科大学, 衛生学講座, 助手 (40264543)
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Keywords | 起立動作能力 / 歩行動作能力 / 大腿部筋厚 / 高齢者 |
Research Abstract |
高齢者が日常生活を自ら支障なく過ごすための対策として、生活体力の向上に視点を向け、起立動作能力と歩行動作能力に注目し、それらの指標が大腿部筋厚で表す下肢機能との間にどのような関係があるかを観察しようとした。また、日常で不便を感じている脳卒中後遺症を持つ高齢者と後遺症を持たない健常な高齢者の両者を比較する事で、その生活体力の特徴を観察できるものと期待された。 本研究における対象者は、脳卒中後遺症により片麻痺をもつ高齢者男性31名、女性11名と特に後遺症を持たない高齢者男性17名、女性23名であった。両者の年齢や身体組成、安静時血圧等の平均値には有意な差が認められなかった。しかし、生活体力の値には大きく差が認められ、起立動作時間において、男性の脳卒中後遺症者7.2±4.4sec、健常者3.7±0.9sec、女性の脳卒中後遺症者6.2±2.9sec、健常者4.3±2.0secと男女いずれも後遺症者と健常者の間に有意な差が認められた。10m歩行時間は男性の脳卒中後遺症者18.6±18.3sec、健常者5.6±1.4sec、女性の脳卒中後遺症者12.9±5.6sec、健常者6.0±1.5secと男女ともに後遺症者と健常者の間に有意な差が認められた。脳卒中後遺症者の大腿部前面の筋厚は、男性の健側31.0±5.9mm、患側26.9±6.0mm、女性の健側24.1±4.8mm、患側22.2±7.0mmと、男女ともに脳卒中後遺症者の筋厚は健側の筋厚において患側のそれよりも有意に大きい傾向を示した。しかし健側、患側いずれの筋厚ともに、本研究において対象にした健常な高齢者の左右の筋厚の平均値(男性27.7±4.5mm、女性23.3±7.4mm)との間に有意差は認められなかった。健常な高齢者については、先行研究のとおり起立動作時間と大腿部筋厚との間に有意な関係が認められたものの、脳卒中後遺症者においてはその傾向を示さなかった。歩行動作時間においても同様な結果であった。 脳卒中後遺症者の起立動作や歩行動作は、健常者のそれと主働筋の使用パターンが異なり、大腿部前面以外の筋の発揮を行っている可能性が考えられた。
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