1996 Fiscal Year Annual Research Report
機能的過負荷による骨格筋線維組成の変化に及ぼす神経の役割
Project/Area Number |
08780096
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
山口 明彦 北海道医療大学, 基礎教育部, 講師 (50244869)
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Keywords | 除神経 / 代償性肥大 / 協働筋切除 / 筋線維組成 |
Research Abstract |
本研究では協働筋切除による筋線維組成の変化が神経支配の有無によって影響を受けるかどうか調べるために、正常に神経支配されたラットと除神経されたラットについて腓腹筋とヒラメ筋を切除したときの足底筋の形態的変化について観察を行った。 被験動物として成熟したWistar系雄性ラット(380〜700g、15匹)を用い、正常に神経支配されたラット群(8匹)と除神経ラット群(7匹)に分けた。さらにそれぞれの群について一方の脚に対し足底筋の協働筋である腓腹筋とヒラメ筋を切除することによって足底筋に対し過負荷をかけ(OL脚、DN+OL脚)、反対脚に対しては偽手術のみを施し、それぞれC脚、DN脚とした。除神経は脛骨神経を約0.5mm取り除くことによって行われた。3週間後、足底筋に対しmyosinATPase染色(preincubation pH10.3、4.6、4.3)を施し、筋線維をtype I、IIA、IIB、IICに分類した。 OL脚の足底筋はC脚と比較して有意な筋重量の増加を示した。筋線維タイプ別横断面積の観察においても、OL脚はC脚と比較してtype I、IIA、およびIIB線維のいずれにおいても有意に大きかった。除神経下において協働筋切除を施したDN+OL脚はDN脚よりも有意に筋重量が大きく、筋線維横断面積についてもtype IIB線維については有意な違いは観察されなかったものの、type I、およびIIA線維についてはDN+OL脚はDN脚よりも有意に大きかった。このように足底筋の協働筋切除による筋肥大は除神経を施しても維持されていた。 一方、筋線維組成について観察すると、OL脚はC脚と比較してtype IIB線維の割合の低下とtype IIC線維の割合の増加が観察された。しかしながら、除神経を施したラットでは協働筋切除によって足底筋の筋線維組成に変化がみられなかった。このことは協働筋切除による筋線維組成の変化は神経からの影響を少なからず受けている可能性を示唆する。
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