1996 Fiscal Year Annual Research Report
可変質量粘弾性モデルを用いたパラメータ同定によるランニング着地衝撃の特性把握
Project/Area Number |
08780101
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
湯川 治敏 愛知大学, 教養部, 講師 (40278221)
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Keywords | ランニング / 着地衝撃 / 可変質量粘弾性モデル / パラメータ同定 / ばらつき |
Research Abstract |
本研究では一般的な着地衝撃の特性を捉えるために,複数被験者におけるパラメータの違いや同一条件におけるパラメータのばらつきの個人差などを検討した.実験は5名の被験者について行い,各被験者は3種類の走速度(3,4,5m/s)における定速走行中に埋設されたフォースプレートに右足で着地をするように走路を走り抜ける.その際,フォースプレートの前後約4mの区間を走路側方からビデオ撮影を行い,フォースプレートへの着地瞬間と離地瞬間における鉛直方向の身体重の入・反射速度を画像分析によって算出した.なお,各被験者の各走速度における試技数は成功試技が20回となるまで行った.測定された着地衝撃とその前後の身体重心の入・反射速度を用いることにより,著者らの先行研究で行われた方法により全ての試技についてパラメータ同定が行われた.同定精度の指標となる着地衝撃の相対標準誤差と離地瞬間における身体重心の鉛直方向速度の相対誤差は非常に小さく,いずれの試技においても高い精度でパラメータ同定が可能であった.同定されたパラメータを各被験者の走速度ごとにまとめ,それぞれのばらつきを検討した結果,走速度に伴うばらつきの変化は被験者によって異なり,一定のパターンは見られなかった.しかし,着地衝撃波形のばらつきが小さいにも関わらず同定されたパラメータのばらつきが大きくなることは全ての試技条件で確認された.これらのパラメータのばらつきが着地衝撃に反映されない理由としては生体での内部調節機構の関与が考えられる.つまり,あるパラメータのばらつきは他のパラメータのばらつきで相殺され,全体としてはばらつきが小さく収まるように調整されていると考えられる.以上のことから,着地衝撃の有効な緩衝作用を検討するためには着地衝撃波形そのものだけでなく,その着地衝撃を生成する為のパラメータの特性に着目する必要があることが示唆された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 湯川治敏: "モデルからみたランニングにおける着地衝撃とパラメータのばらつき" スポーツ産業学研究. Vol.17,No.1(印刷中). (1997)
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[Publications] 湯川治敏: "モデルからみたランニングにおける着地衝撃とパラメータのWithin-Subject VarlabilityとBetween-Subjects Variability" 愛知大学体育学論叢. Vol.6(印刷中). (1997)