1996 Fiscal Year Annual Research Report
社会体育領域における資格認定・取得とその任用に関する社会学的研究
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08780108
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松尾 哲矢 福岡大学, 体育学部, 助教授 (00190413)
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Keywords | 機能的要件 / プロフェッション化 / スポーツ・レクリエーション資格 / クレデンシャリズム / 因子分析 / 職業的キャリア / 個人的キャリア / 開かれた専門職 |
Research Abstract |
本研究では、スポーツ・レクリエーション領域における質の高いボランティア指導者の養成と指導者のプロフェッション化を視座に入れつつ、それを可能にする資格の望ましいあり方と制度化に関する社会学的基礎研究として、スポーツ・レクリエーションの資格に係わる機能的要件を明らかにするとともにそれらの要件とスポーツ・レクリエーション指導者の社会的特性や指導活動及び意識との関連性について比較検討することを目的とした。本研究は、予備調査で精選されたスポーツ・レクリエーション資格の機能的要件に関する25項目を含む、66項目から成る質問紙法で行われ、そのデータは、スポーツ・レクリエーション指導者187名によって得られた。主な結果は、以下の通りである。 1,スポーツ・レクリエーション資格の機能的要件として6因子が抽出され、それぞれ「能力開発」、「職能評価」、「専門職化」、「差別化」、「資格-環境構造化」、「活動啓蒙」因子と命名された。これらの資格に係わる機能的要件により、スポーツ・レクリエーション資格が指導者自身の資質の向上と自己能力開発機能、さらには活動の啓蒙機能が明らかになり、スポーツ・レクリエーションの普及を目的とした資格認定のあり方を特徴づける機能として注目された。一方、資格と職業との関連では、専門職化、差別化、資格-環境構造化機能により過度のクレデンシャリズムに陥ることなく、いわば「開かれた専門職」の確立と質の高いボランティアの養成を可能にする資格制度の再検討と資格環境の整備の必要性が示唆された。 2,抽出された因子群と社会的特性、活動状況や諸意識間で、いくつかの特徴的な関連が認められた。まず、若年層、学生、福祉関係団体・施設職員、資格取得不満足者、生活や職場生活の不満足者で専門職化を肯定する傾向が顕著だった。また職能評価因子では、特にスポーツ・レクリエーション資格取得満足者、指導実施者で肯定的傾向を示し、差別化因子では、スポーツ・レクリエーション資格取得満足者で肯定する傾向が強かった。
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