1996 Fiscal Year Annual Research Report
英語の語用論的能力を測る2つのテスト方法の比較と妥当性の検討
Project/Area Number |
08780203
|
Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 みゆき 名古屋学院大学, 外国語学部, 助教授 (60241147)
|
Keywords | 語用論的能力 / Production Questionnaire / Role Play / 解答プロセス / プロトコール / 発話行為 / 依頼 / 拒絶 |
Research Abstract |
本研究は、語用論的能力を測る代表的テストであるProduction QuestionnaireとRole Playを、日本人大学生40人に実施し、結果を(1)観点別得点、(2)解答の言語学的分析、(3)解答プロセスのプロトコールの3つの側面から比較し、その妥当性を検討することを目的とした。まず、測定する発話行為を当初の計画より増やし、「依頼」と「拒絶」の2種類8場面にして、上記2種類のテストを作成、実施した。その際、解答に至るプロセスに関するデータを得るため、各場面のテストが終わる度に、詳しいアンケート調査と、無作為抽出による聞き取りを行った。得られた解答は、2人の訓練された英語母国語話者に「適切さ」と「文法・語法」の観点から採点してもらった。膨大なデータ数のため、まだ完全には分析が終了していないが、現在までに得られた主な結果は、以下の通りである。 1、Role PlayもProduction Questionnaireも、採点者間相関が比較的高く(Role Play:0.64-0.94,Production Questionnaire:0.69-0.90)、信頼し得るテストであることがわかった。 2、2つのテストは、「文法・語法」の観点では、比較的高い相関を示したが、「適切さ」の観点では、0.04-0.51と相関値が低く、テスト方法要因(method factor)の影響が強いことがわかった。Role Playでは、Production Questionnaireでは測れない発音、視線、態度、ジェスチャー、声の大きさ等が「適切さ」の要素として加味されるためと思われる。 3、テスト後のアンケート調査の集計の結果、74.7%の被験者が「話し始める前に言うことを全て考えた」、61.9%の被験者が「日本語で考え、英語に訳した」等と答えており、海外の英語学習者とは異なる、日本人学習者特有の特徴を示した。
|