1996 Fiscal Year Annual Research Report
l-Orodered属性文法の有用性の検証に関する研究
Project/Area Number |
08780248
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
権藤 克彦 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科計算工学専攻, 講師 (50262283)
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Keywords | 属性文法 / NP完全 / 3型循環 / 依存グラフ / l-Ordered属性文法クラス / Ordered属性文法クラス / OAG^*属性文法クラス |
Research Abstract |
Ordered属性文法クラスに基づく属性評価器は(1)判定・評価器構築が多項式時間でできる,(2)インクリメンタルな属性再評価をO(|Affected|)でできる,(3)3型循環と判定されても容易とされる修正でOrdered属性文法に変換できる,という利点を持ち,実用上十分に広いクラスとして様々なシステムに応用されてきた.本研究の目的は(3)の3型循環に関する種々の性質の解明である.予想では(3)の変換がNP完全であると考えた.また多人数で属性文法仕様を記述する場合に除去が複雑になりやすいと予想した.研究成果として以下の結果を得た. ・ 「3型循環をもつ属性文法をOrdered属性文法に変換する問題はNP完全である」ことを証明した. 「2型循環を持たず,3型循環を持つ属性文法」を必ずしもOrdered属性文法に変換できないことを反例を示して証明した.Ordered属性文法に変換できるクラスについては,そのクラスがl-Ordered属性文法クラスと一致することを証明した.l-Ordered属性文法クラスの判定問題はNP完全問題であり,Ordered属性文法クラスは多項式時間で判定可能なので,Ordered属性文法に変換できる(=3型循環の除去可能性を判定する問題)はNP完全であることになる. ・ 3型循環の除去アルゴリズムを構築した. このアルゴリズムは,属性依存グラフIDPからEDPを作成する際に付加される技の一部を反転して3型循環の除去を試みるということを全ての組合せに対して行う. ・ Ordered属性文法クラスを含み,l-Ordered属性文法クラスに含まれる,新しい属性文法クラスOAG^*を考案した. 3型循環を生じにくく,かつ,多項式時間で判定できるという特徴を持つ.属性依存グラフDPを全ての同一記号生起について重ねたグラフGDSを考慮して,属性を全順序化する. ・ OAG^*に基づく属性評価器をThe Synthesizer Generator^<TM>の属性評価カーネルに実装し,3型循環を持つ中規模の例題を用いて実験し,良い結果を得た. この例題を複数プログラマが開発したシステムであり,規模は非終端記号数282,生成規則数598,属性数1338である.3型循環を取り除くために,人手で架空の依存を55本張られていた.OAG^*を用いて処理した所,3型循環は生じなかった.
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