1996 Fiscal Year Annual Research Report
非線形磁気流体波によってつくられる高エネルギー重イオンの化学組成
Project/Area Number |
08780451
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
樋田 美栄子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00273219)
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Keywords | 非線形波 / 磁気音波 / 粒子加速 / 多種類イオン / 太陽高エネルギー粒子 / 化学組成 / 重イオン加速 / 無衝突減衰 |
Research Abstract |
非線型磁気流体波は、宇宙プラズマでの粒子加速現象において非常に重要な役割を果たすものと考えられている。このため、非線形磁気流体波については多くの研究が行なわれてきたが、その大部分はイオンを1種類と仮定して進められてきた。しかし、宇宙プラズマや核融合プラズマには多種類のイオンが含まれている。そして、多種類イオンの存在は、宇宙で生成される高エネルギー粒子の化学組成など、粒子加速機構を解明するうえで無視することのできない問題を提供している。本研究では、多種類のイオンが存在するプラズマ中での非線形磁気音波の伝播と、それに伴う重イオン粒子の加速について、理論解析および計算機シミュレーションを行なった。以下に、具体的な成果を記す。 ・水素とヘリウムの主成分イオンと、酸素、炭素、鉄等の少数の重イオンを含むプラズマ中での非線型磁気音波による粒子加速について、粒子モデルに基づく計算機シミュレーションを行なった。その結果、ヘリウムと酸素、炭素、鉄などの重イオンは、同じメカニズムで、ほぼ同じ速度にまで加速されることが明らかになった。さらに、それらのイオンは全ての粒子が加速される、すなわち流体的な加速であることがわかった。したがって、非線形磁気音波によってつくられる高エネルギー重イオンの化学組成は、全ての種類の重イオンについてほぼ共通であることが予想される。この化学組成、太陽フレア-時に発生する高エネルギー重イオンの化学組成と一致するものである。 ・2種類のイオンと電子からなるプラズマ中を磁場に対して直角方向に伝播する非線形磁気音波について、理論解析および3流体モデルに基づく計算機シミュレーションを行なった。1種類のイオンと電子からなる無衝突プラズマの場合、磁場に対して直角方向に伝播する小振幅の磁気音波は減衰しない。それに対して2種類のイオンが存在する場合、磁気音波は直角伝播で小振幅であっても、重イオンを加速することにより減衰することを明らかにした。これは、プラズマにおける新しい無衝突減衰機構である。
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[Publications] D.Dogen,M.Toida,and Y.Ohsawa: "Collisionless Damping of Perpendicular Magnetosonic Waves in a Two-Ion-Species Plasma" Journal of the Physical Society of Japan. 65・12. 3686-3688 (1996)
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[Publications] M.Toida,and Y.Ohsawa: "Simulation Studies of Acceleraion of Heavy Ions and Their Elemental Compositions" Solar Physics. 171・1(掲載予定). 161-175 (1997)