1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08780496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池袋 一典 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (70251494)
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Keywords | 微生物電極 / シアン / 河川水分析 / Saccharomyces cerevisiae / 酸素電気 / 呼吸活性の阻害 / バイオセンサー / リアクター |
Research Abstract |
酸素電極上に微生物固定化膜を装置することにより、微生物の呼吸活性を測定することが可能である。シアンは猛毒であり、生物の呼吸を阻害する。従ってシアンの添加によって微生物の呼吸活性が阻害され、その結果微生物膜上で消費される酸素量が減少し溶存酸素量が増加する。この溶存酸素量の変化を酸素電極で測定することによってシアンの計測が可能となる。 本研究は将来、河川においてのオンライン計測に応用できる微生物センサーの開発を目的とした。 1.分子認識素子として用いる微生物の選択 グルコースを栄養源として最も呼吸活性が高く、かつシアンに対する応答の高い微生物の選択を行った結果、パン酵母であるSaccharomyces cerevisiaeがセンサーの分子認識素子として適当であった。 2.センサーの形状の検討 電極型、フロー型、リアクター型などの形状のものを作成しセンサーの特性を比較検討した結果、センサーの応答の安定性の面からリアクター型が最適であると考えられた。 3.測定の最適条件の検討、特性の評価 測定の最適条件を調べたところ、流速4.5ml/min、温度30℃、グルコース濃度150mg/lであった。この最適条件において同様にシアン化カリウム濃度0.0〜1.0ppm溶液の電流値変化を調べたところ、0.04〜1.0ppm(0.60〜15μM)の範囲で応答が確認された。またセンサーは固定化後9日間シアンに対して安定な応答を示した。 4.共存物質の影響 金属イオン、塩化物イオン、硫化物イオンなどの河川水中に存在する様々な物質がセンサーの応答に与える影響を検討した結果、河川水中の濃度では影響はあまりないことが明らかになった。 5.構築したセンサーの河川水への適用 構築したセンサーを用いて実際に6カ所の河川水のシアン濃度を測定した結果、十分シアンが測定できることが確認できた。
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[Publications] K.Ikebukuro: "Microbial cyanide sensor for monitoring a river water" Journal of Biotechnology. 48. 73-80 (1996)
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[Publications] K.Ikebukuro: "Flow type cyanide sensor using microorganism" Electroanalysis. (in press). (1997)
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[Publications] K.Nakanishi: "Determination of cyanide using a microbial sensor" Applied Biochemistry and Biotechnology. 60. 97-106 (1996)