1996 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫抑制剤ディスコデルモライドの立体選択的合成研究
Project/Area Number |
08780534
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮澤 眞宏 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70209899)
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Keywords | ディスコデルモライド / トリメチルアルミニウム / 立体特異的アルキル化 / 位置選択的アルキル化 / 免疫抑制剤 / ポリプロピオナ-ト |
Research Abstract |
本研究は、最近単離構造決定された非常に強い免疫抑制活性を有する新しいタイプの免疫抑制剤と考えられているディスコデルモライドの全合成を行うことを目的とする。その基本的な合成戦略は、当研究室で開発したトリメチルアルミニウムによるγ、δ-エポキシアクリレートへの立体選択的アルキル化反応によりポリプロピオネート構造を立体選択的に構築することである。今回は、5連続不斉中心を含むディスコデルモライドのC14〜C24位までのセグメントの合成を行いこれを効率的に合成した。以下にその合成法を示す。 出発原料にmethyl(S)-3-hydroxy-2-methylpropionateを用い、まず水酸基をベンジルエーテル化し、続いてエステルを還元しアルコールを得た。次にSwern酸化し、Emmons-Horner反応を行いシス-αβ-不飽和エステルを得た。エステルをDIBAL-Hに還元し、得られたアリルアルコールをmCPBA酸化しエポキシアルコールを得た。この水酸基を再びSwern酸化、Emmons-Horner反応しethyl(E)-(4R,5S,6S)-7-benzyloxy-4,5-epoxy-6-methyl-2-heptenoateを得た。これを10当量のトリメチルアルミニウムと6当量の水で処理すると100%の位置および立体選択性でメチル化反応が進行した。これをベンズアルデヒドとt-ブトキシカリウムで分子内アセタール化し15位の酸素官能基を立体選択的に導入した。これを80%酢酸水溶液で加熱処理することにより脱アセタール化とラクトン化が一挙に進行した。このラクトンをLDAとヨウ化メチル化でメチル化し、必要な5連続不斉中心を全て構築した。現在同様の手法を用いてC8〜C13セグメントの合成を行っている。
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