1996 Fiscal Year Annual Research Report
ナマコ由来の神経突起伸展作用ガングリオシド成分の探索研究
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08780545
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 耕史 九州大学, 薬学部, 助手 (00253469)
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Keywords | ナマコ / トラフナマコ / グミ / ジャノメナマコ / スフィンゴ糖脂質 / ガングリオシド / セレブロシド / 神経突起伸展作用 |
Research Abstract |
本研究は、新規生理活性ガングリオシドの探索を目的として、PC-12細胞に対する神経突起伸展作用を示すガングリオシドをナマコ類から単離し、その化学構造並びに、生理活性について検討を加え、構造活性相関について考察する事を企図するものである。材料生物については、トラフナマコ、グミ(福岡県沿岸)、ジャノメナマコ、アデヤカバイカナマコ、クロテナマコ、チズナマコ並びに、シカクナマコ(沖縄県沿岸)の合計7種のナマコを採集した。本年度は、そのうちトラフナマコ、グミ、ジャノメナマコを常法に従い処理し、脂溶性脂質画分並びに水溶性脂質画分を得た。そのうち水溶性脂質画分を各種カラムクロマトグラフに繰り返しふし、ガングリオシド成分の分離を試みた。尚、ガングリオシドの構造並びに、構造活性相関について知見を得るために、一般にガングリオシドの生合成前駆物質であると考えられているセレブロシド成分についても、脂溶性脂質画分からの分離を試みた。その結果、トラフナマコからは3種のセレブロシド分子種と11種のガングリオシド分子種を、グミからは2種のセレブロシド分子種と1種のガングリオシド分子種を、ジャノメナマコからは3種のセレブロシド分子種をそれぞれ分離することが出来た。グミのセレブロシドについては、5種の構成主成分を分離する事にも成功した。各成分については、機器分析的並びに、化学的手法を組み合わせて構造の解明を行った。その結果、全てのセレブロシドの構造と、5種のガングリオシドの構造をそれぞれ明らかにする事が出来た。構造の明らかになった各成分については、PC-12細胞に対する神経突起伸展作用を調べた。その結果100μg/mlの濃度で、全てのガングリオシドに、神経突起伸展作用を示す事を見出す事ができた。また、活性発現には、糖鎖中にシアル酸の存在が不可欠である事も確認できた。尚、上記の研究成果については、日本生薬学会第43回年会、平成8年度日本薬学会九州支部大会で発表済みであり、更にその一部については、日本薬学会第117年会で発表予定である。
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