1996 Fiscal Year Annual Research Report
CMP-シアル酸アナログの化学合成とそのシアル酸転移酵素に対する活性評価
Project/Area Number |
08780546
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梶原 康宏 横浜市立大学, 理学部, 助手 (50275020)
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Keywords | シアル酸転移酵素 / CMP-シアル酸 |
Research Abstract |
シアル酸転移酵素は、シチジン5'-モノファスフォシアル酸(CMP-シアル酸)から、糖鎖末端のガラクトースへのシアル酸の転移反応を触媒する。そこでCMP-シアル酸のアナログ体を合成し、これをシアル酸転移酵素で処理すれば、シアル酸アナログを糖タンパク質糖鎖の末端に組み込むことができると考えた。 本研究では、シアル酸の各水酸基をフッ素原子、アジド基、アミノ基等で置換したCMP-シアル酸アナログの合成を行った。また特に、シアル酸の4位修飾体は、酵素阻害剤などの活性が期待できるため4位を修飾した誘導体の合成を行った。合成手順としては、シアル酸の水酸基を化学修飾した後、シアル酸の2位の水酸基とシチジンのリン酸を介した縮合、脱保護を行ってCMP-シアル酸アナログへと変換するルートを選んだ。シアル酸の9位の修飾については、9位の選択的トシル化、続いてアジド化を行ったのち、残りの各水酸基をアセチル化して保護した。そして、2位のみを遊離の水酸基へ変換後、5´位がアミダイト基で修飾されたシチジン誘導体との縮合、リン酸の5価への酸化、脱保護を行って、CMP-9゙-アジドシアル酸の合成に成功した。また、この化合物を接触還元によりCMP-9゙-アミノシアル酸に変換することにも成功した。また、9位を選択的にフッ素化したシアル酸誘導体も同様な方法を用いてCMP-9゙-フルオロシアル酸に変換することができた。また、シアル酸の4位の修飾に関しては、4位水酸基を酸化してケトンとした後、ボラン-アンモニア複合体による還元を用いて4位の立体配置を反転させることを完了した。現在、4位のフッ化、アジド化を検討している。また、得られたCMP-9゙-アミノシアル酸、CMP-9゙-フルオロシアル酸は、ラット肝臓由来、およびバクテリア由来のα2,6-シアル酸転移酵素に対し転移活性を有することを確認した。
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