1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08780564
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
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Keywords | アルツハイマー痴呆症 / βアミロイド蛋白質 / アミロイド前駆体蛋白質 / ゼラチナーゼA |
Research Abstract |
アルツハイマー痴呆症は、脳内に蓄積したβアミロイド蛋白質(βAP)により、神経細胞が変性死することが主要な原因と考えられている。βAPは細胞内でより分子量の大きな細胞膜結合型の前駆体蛋白質(APP)として合成された後、細胞内プロテアーゼにより分解される過程で切り出される。一方、APPが細胞表層において未知のプロテアーゼ(α-secretase)で切断されるとAPPの細胞外領域(sAPP)が切り出され、βAPを産生することはない。私達はこれまでマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の一つであるゼラチナーゼAがα-secretaseとして働く仮説を提唱してきた。本年度はこの仮説を検証するために、培養細胞を用いてsAPPの分泌に及ぼすMMPインヒビターの影響を調べた。1)まず、ヒト繊維肉腫由来HT1080細胞をコンカナバリンA(ConA)で処理すると細胞培養液中のゼラチナーゼA前駆体が活性化されるとともに、sAPP(120kDa)より分子量の低いAPPの分解断片(80〜90kDa)が生じることを見い出した。2)このAPP分離断片は細胞培養液に天然のMMPインヒビターであるTIMP-2や合成MMP阻害剤を添加すると消失した。3)モノクローナル抗体を用いて解析した結果、APP分解断片はsAPPのCOOH末端領域が欠如した分子であることが判明した。4)溶液中でsAPPにゼラチナーゼAを作用させても分解断片を生じないことから、APPの分解は細胞膜表層で起きていると推定された。5)sAPPの分泌はTIMP-2で抑制されないことから、細胞におけるα-secretase活性はMMP以外の酵素が担っていることが示唆された。 以上の結果から、当初の予想とは異なり、MMPがα-secretaseとして働く可能性が低いことが示唆された。一方、1)〜4)の結果はα-secretaseに依存しない新しいAPP細胞外領域の放出機構にゼラチナーゼA、あるいはゼラチナーゼA前駆体の活性化因子であるMT-MMPが関わることを示唆している。このMMPによるAPPの細胞外分解経路ではβAP領域内での切断が起きないことから、βAPの産生・蓄積に関与する可能性があり、興味深い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shouichi Higashi,Naomi Matsumoto and Sadauki Iwanaga: "Molecular Mechanism of Tissue Factor-mediated Acceleration of Factor VIIa Activity" The Journal of Biological Chemistry. 271. 26569-26574 (1996)
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[Publications] 宮崎 香、東 昌市: "生化学 Vol.68" 社団法人 日本生化学会, 1862 (1996)