1996 Fiscal Year Annual Research Report
長期記憶に関わる転写因子CREBのリン酸化による活性制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
08780571
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
永田 宏次 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (30280788)
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Keywords | 長期記憶 / 転写 / CREB / CBP / 立体構造解析 / NMR / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
長期記憶に関わる転写因子CREBはSerがリン酸化されることにより、コアクティベータCBPと結合して転写を活性化する。このリン酸化による転写因子CREBの活性調節の分子機構を明らかにするために、CREB、CBP双方の結合領域についてNMRにより構造を解析した。CREB由来のリン酸化Serを含む33残基のペプチド(KID)を化学合成し、CBP由来の85残基(KIX)は組み換え大腸菌を使い^<13>C、^<15>Nで安定同位体標識した試料を調製した。KIX単独およびKID・KIX複合体の各種三核三重共鳴NMRを測定し、単独およびKID結合状態のKIXについて主鎖と側鎖の帰属を完了した。化学シフトインデックスからKIXの二次構造を解析し、KIXにはβストランドがなく3つのαヘリックスのみからなること、KIDに結合してもKIXの二次構造は変化しないことが示された。KIXの両状態の化学シフトを比較しKIXのKID認識残基を特定したところ、複数の塩基性残基が含まれていた。これらの塩基性残基の正電荷がKIDのリン酸化Serの負電荷の認識に寄与していると推測される。二次構造予測に従い分子モデルを構築したところ、このKID認識残基はKIXの1つの面に局在化しており、この分子表面でKIXがKIDに結合することが示された。現在、NMRから得られた構造情報をもとに、KIX単独およびKID・KIX複合体の精密な分子構造を明らかにするために構造計算を進めている。
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