1996 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク質の病原化に伴う構造変化とアミロイド形成における金属の役割
Project/Area Number |
08780611
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 隆史 東北大学, 薬学部, 講師 (30222318)
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Keywords | プリオンタンパク質 / 2次構造転移 / αヘリックス形成 / アミロイド / 銅イオン / ラマン分光法 |
Research Abstract |
プリオン病は脳内タンパク質により引き起こされる致死性の神経変性疾患であり、感染性を示す点でアルツハイマー病などの他の痴呆症とは異なる特徴を持つ。正常なプリオンタンパク質(PrP^c)は約210アミノ酸残基からなり、C末端側約半分の領域はαヘリックスに富む。このαヘリックスの一部がβシートに転移すると分子間会合によってアミロイド化し病原性を示すようになる。最近、研究代表者はPrP^cのN末端領域に存在するPHGGGWGQというオクタペプチドの繰り返し配列にCu (II)イオンが結合すると、そのC末端方向にαヘリックス構造が誘起される新しい現象を見い出した。本研究では、この知見を基礎として、 (1)金属結合部位の特定と(2)繰り返しの理由の解明を行った。 1.オクタペプチド(NPr1)とCuの複合体のラマンスペクトルから、ヒスチジンのイミダゾール側鎖および脱プロトン化した主鎖アミドの窒素原子が配位子となることがわかった。さらにオクタペプチドの断片化を行うことにより、HGGG領域がCu結合部位であることを明らかにした。 2.NPr1の場合、金属複合体形成はペプチドに対して2当量以上のCu (II)イオンの存在を必要とする。しかし、オクタペプチド2回繰り返しからなる16merペプチド(NPr2)ではオクタペプチドユニット当り1当量のCu存在下で顕著な複合体形成を示し、Cuに対する親和性の増加が認められた。 以上の結果から、PHGGGWGQ配列が連続することで、HGGG部位がCuに効率的に結合し、PrP^cのαヘリックス構造が安定化されることがわかった。脳内の金属イオン濃度やpHの変動によるオクタペプチド領域の構造変化がプリオンタンパク質の病原化の原因である可能性がある。
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Research Products
(1 results)