1996 Fiscal Year Annual Research Report
光情報伝達における受容体-Gタンパク質間の相互作用のリアルタイム測定
Project/Area Number |
08780631
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 知志 姫路工業大学, 理学部, 助手 (90244681)
|
Keywords | 視覚 / ロドプシン / GTP結合蛋白質 / 蛍光標識 / 情報伝達 / 蛋白質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、EV-R(ダイキン工業社製)ならびにIAsys (Fisions社製)を使用し、タコ視細胞膜より精製したロドプシンと、シグナルトランスデューサーとしてロドプシンと共役するG蛋白質(G_q)との相互作用のリアルタイム測定を試みた。 EV-Rは反応槽に固相化した蛋白質と蛍光標識した蛋白質との相互作用を蛍光法で測定する。本研究ではロドプシンを固相化し、G_qαを蛍光標識する方法をとった。蛍光標識試薬には蛋白質のアミノ基と反応するCy5 (Ex max=649nm、Em max=670nm、Amersham社製)を用いた。標識反応時のG_qαとCy5のモル比は1 : 8、反応条件はHepes (pH8.0)バッファー中で10℃、2時間とした。得られたCy5-G_qα標品は、標識効率が1 : 1、GTPγS結合の残存活性は約40%であった。メーカーによる標準的な条件に従いロドプシンを固相化した反応槽を用いてCy5-G_q添加時の結合シグナルを測定したところ、ロドプシンの固相化量に依存した強度のシグナルが得られた。このシグナルは、Cy5-G_qαを変性させると消失し、また過剰量の比標識G_qαや非固相化ロドプシンの同時添加により競合的に減弱されることより、2蛋白質間の特異的な相互作用を反映するものと考えられる。結合シグナルは至適条件(pH6.5)では3分で飽和に達し、GTPγS結合実験の結果とよく一致した。光照射によるロドプシンの活性化に伴うシグナル変化については予備的実験の段階であり、期待した結果はまだ得られていない。結合シグナルは測定溶液中の界面活性剤や塩に大きく影響されるため、光応答を解析するための至適条件の検索が目下の課題である。 EV-Rとは異なりIAsysは非標識の蛋白質間の相互作用を測定する。EV-Rと同様に反応槽にロドプシンを固相化し、G_qを添加して結合シグナルを測定した。ロドプシンの固相化法や測定溶液組成を始め、測定諸条件の検討を行ったが、反応槽へのG_qの非特異的結合が多く期待した結果を得るには至らなかった。現在はタコ視細胞膜を直接固相化し、膜上での両者の相互作用を測定する方法を検討している。
|
-
[Publications] Kikkawa, S.: "Simple purification and functional recoustitution of octopus photoreceptor G_q" Biochemistry. 35. 15857-15864 (1996)
-
[Publications] Nakagawa, M.: "Identification of two palmitoyl groups in octopus rhodopsin" Photochem. Photobiol.65. 187-191 (1997)
-
[Publications] Nakagawa, M.: "Light-induced protein conformational changes in the photo lysis of octopus rhodopsin" Biophys. J.(in press). (1997)