1996 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性ガラスによるタンパク質の高次構造固定法を用いたタンパク質機能の研究
Project/Area Number |
08780632
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柴山 修哉 自治医科大学, 医学部, 講師 (20196439)
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Keywords | 多孔性ガラス / ヘモグロビン / バクテリオロドプシン / 構造固定 |
Research Abstract |
1.多孔性ガラス中ヒトヘモグロビンの高次構造変化の速度を求める実験を以下の2つの方法で行った。(1)天然オキシヘモグロビンを多孔性ガラスに封入しデオキシ化して、デオキシヘムの光吸収変化からR→T変化速度を求めた。(2)酸素親和性がオキシ型とデオキシ型の中間になるようなニッケル・鉄混成ヘモグロビンを多孔性ガラス中に封入して温度ジャンプ法を行い、ニッケルポルフィリンの光吸収スペクトル変化からR→T及びT→R変化速度を求めた。これらの実験から、通常室温溶液中ではマイクロ秒領域にあるヘモグロビンの高次構造変化が、摂氏20度の多孔性ガラス中では数10時間のオーダーにまで遅くなっていることが分かった。また、構造変化の速度は摂氏35度では数倍速くなり、構造変化は各温度で可逆的であった。 2.当初、連続測定型の酸素平衡曲線測定装置の開発を目指していたが、酸素分子のガラス中での拡散速度の問題と予算上の制約で実現できなかった。その代わり、比較的低酸素濃度まで測定できる不連続型のシステムを恒温プレハブ内に組み上げた。巨大ヘモグロビンのアロステリック単位を調べる実験は、このシステムを用いて1997年3月から開始する予定である。 3.Xeフラッシュ照射後の多孔性ガラス中バクテリオロドプシン(紫膜)の光サイクルの挙動を分光学的に調べた。予想に反して、結果は通常のサスペンジョンでの実験結果とほぼ同じであった。バクテリオロドプシンの場合、膜から露出しているタンパク部分は少ないので、多孔性ガラスの構造同定作用が膜内部まで及ばなかったと考えている。現在、膜タンパク質の構造変化を抑える目的で、乾燥させたガラス中での固定化実験、及び、マルトース等の糖類を細孔中に入れて粘性をあげた系での固定化実験を試みている。
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