1996 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能NMRによるHIV-2のヌクレオキャプシドタンパク質の構造活性相関の解明
Project/Area Number |
08780633
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 講師 (60265733)
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Keywords | HIV-2 / nucleocapsid protein / NMR / zinc finger motif / structure |
Research Abstract |
当研究は,HIV-2のヌクレオキャプシドタンパク質(NCp8:zinc finger motifを2つ含む49アミノ酸残基のぺプチド)を対象とし,その構造とウイルスRNA認識機構の関係を解明することを最終的な目的としている。本年度は,その初年度として1つのzinc finger motif(AFMと略称)を含むN端側の29残基(NCp8-f1)の立体構造を決定し,活性に重要な部分の構造がHIV-1の対応する部分の構造と相違することを得た.詳細を如何に記す. 1.Zn^<2+>配位の確認およびNCp8-f1の水溶液中での構造決定 (1)NCp8-f1へのZn^<2+>の配位をCDおよび1次元NMRで確認した. (2)2次元NMR(COSY,TOCSY,NOESY)の測定より,分子内の全ての水素核のスペクトルの帰属を行った. (3)2次元NMR(NOESY)から得られる距離制限情報を用いて,simulated annealing法によりZn^<2+>配位下での立体構造を決定した.その結果,14残基からなるZFMに関してはNIV-1の同領域と非常に近い構造を示した.しかし,C端側の7残基(basic region)に関してはHIV-1にはないループ様の構造をもっていることがわかった.この部分は活性研究からもHIV-2特有の働きがあることが報告されており,今回の結果はRNA認識が立体構造と大きな相関があることを裏付けている. 2.C端側のZFMを含む27アミノ酸残基のペプチド(NCp8-f2:上記のbasic regionをN端側に持つ)を合成した.これに関しても2次元NMR測定結果を解析し,既に主鎖の水素核の帰属を完了した.また,今後RNAとの結合時の構造を求めるために窒素核を安定同位体標識したNCp8を大量調製することが必要である.本年度はNCp8をコードするDNAを大腸菌の発現ベクターに組み込むことを終了した.
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