1996 Fiscal Year Annual Research Report
酵母ミトコンドリアhsp70のシャペロン反応制御の分子機構
Project/Area Number |
08780674
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 周一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10252222)
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Keywords | 分子シャベロン / hsp70 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本研究では,酵母ミトコンドリアマトリクスの分子シャペロンhsp70であるSsclpと,そのパートナータンパク質Mdjlp,YgelpおよびTim44の精製を行ない,これらのシャペロン機能のin vitroでの解析を行なった. 精製したSsclpは弱いATPase活性を有しており,これはMdjlp存在下で1.8倍,MdjlpとYgelpが共に存在すると7倍に促進された.以上の結果は大腸菌のDnaK-DnaJ-GrpEの系で得られた結果と良い一致を示しており,MdjlpとYgelpがDnaJ,GrpEと同様の機構でSsclpの機能制御を行なっていると示唆されるので,その詳細な機構について解析を行なっている.また,Mdjlpは酵母サイトゾルのhsp70であるSsalpのATPase活性も促進した.一方,Tim44のSsclpのATPase活性促進効果は現在のところ観察されていない. 変性ルシフェラーゼのrefolding促進活性を指標にSsclpのシャペロン活性について検討したところ,DnaK-DnaJ-Grp,Ssalp-Ydjlpの場合とは異なり,Ssclp-Mdjlp-Ygelpはグアニジン塩酸によって変性したルシフェラーゼのrefoldingを促進する活性は持っていなかった.しかし,熱処理(42℃,10分)によってルシフェラーゼを変性する際にSsclpとATPが存在するとルシフェラーゼの変性が部分的に抑制された.また,熱処理後にMdjlp,Ygelpを更に加えると,変性したルシフェラーゼはrefoldし,活性の回復が観察された.現在,このシャペロン活性の違いについて更に解析を進めている.
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